2017年11月24日金曜日

鈍痛のような寒さの中へ

今日も冷暖房なしで気持ちよく起床。那覇の気温は20度ちょっとである。

ちょっと青空ものぞく。ジャケットを着る気にはならず、長袖カッターシャツがちょうどいいかなという感じの朝である。

いつものようにハイウェイ食堂でゆし豆腐…と思ったのだが、今日は意を決してまだ食べたことがないメニューを頼んだ。
ちゃんぽんである。
ラーメンか?と思った人、それは「長崎ちゃんぽん」。これは「ちゃんぽん」。野菜炒め(というかちゃんぷるー)がライスの上に乗っている。(ライスは見えないが野菜の下に隠れている)。
うまいじゃないか。いいじゃないか。
でも結局、今回は沖縄そばを1杯しか食べなかった。ダメだ。こんなことでどうする。

帰りのJTA便はジンベイジェット。これで那覇から小松(石川県)まで一気に飛ぶ。

定刻より少し遅れて離陸。10分やそこらの遅れは那覇空港では御の字である。
…あれは第2滑走路か?早く出来てくれよ。

神山島の美しいリーフの向こうに渡嘉敷島を望みつつ、今年の沖縄紀行は終了。来年またよろしくね。

しばらくすると眼下は一面の雲になった。PC仕事をしつつ、2時間ちょっとの空路。

やがて着陸態勢に入ると、眼下に雲の切れ間から薄暗い色調の下界が見えてきた。
アナウンスが小松空港の気温は3度だと告げる。うそでしょ。

小松空港からバスで金沢へ向かう。鉛色に低く垂れ込める雲と、荒れる海。冬の日本海の風景が広がる。今は「日本海側」なんて言ってるけど、昔は「裏日本」と言った。この光景はまさに「裏日本」だ。

金沢駅に到着。この季節はいつもびしゃびしゃなのだ。寒さの質が太平洋側とは違う。耳がちぎれるような風が吹き大きな霜柱ができる、カミソリのような寒さではない。重く湿った鈍痛のような寒さだ。

金沢駅は相変わらずの人手で、駅前の鼓門が雪吊りした松とセットで映えている。

ホテルの窓からのぞくと、びしゃびしゃの寒そうな路面が見える。時折どどーんと何がバクハツしたんだろう、山でも崩れたのかと思うような低く大きなバクレツ音が響き渡る。北陸に住む者なら誰もが知っている雪起こしである。
中学生のころ、オールナイトニッポンの最中にバリバリと聞こえなくなった。高校生のころ、楽しみにしていたアーティストのアルバムのエアチェックをぶちこわした。心が沈み込む冬の夜に、いつもBGMになっていたあの雪起こしである。
ああ、雪起こしが聞こえるところに帰ってきたんだなあ。
裏日本という言葉を蔑称だとまなじりつり上げる人もいるけれど、私はそれほど嫌いな言葉ではない。「裏」の薄暗さ、じんわりした湿気、この季節の風景にぴったりな言葉だと思うからだ。
そりゃあ誰だって雪はいやだ。タイヤ交換も面倒だし、雪除けはもっと面倒だ。朝、寒くて天気が悪いのに早く起きなければならない。雪除けすれば、汗で濡れたんだか雨雪で濡れたんだかわからなくなる。暑いんだか寒いんだかわからなくなる。いつも服も足下も湿って濡れている。いつも空は鉛色に低く垂れ込めているし、すべてがどんよりと陰鬱である。
でもそんな風土の中で、我慢強く、寡黙に人々は生きてきて、そんな中で独自の文化を育んできた。それがまた好きだ。たぶん自分自身の根っこでもあるしね。苔むした古刹に冬の暗さは似合うが、太平洋のあっけらかんとした陽光は似合わない。

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