2016年5月31日火曜日

ゆったり波照間

今日はオフ日。波照間島に行きたくて、わざわざ1日滞在を延ばした。
波照間島は有人島として日本最南端の島だ。
最西端の与那国島は去年行ったし、最北端の宗谷岬にも行ったし、実質最東端の納沙布岬にも行ったから、あとは波照間島に行けば日本の端っこを全制覇になるのだ。
しかし空路はなくフェリーのみ。それも波照間島は石西礁湖の外にある。石西礁湖というのは、石垣島と西表島の間に広がるサンゴ礁で、この中は波静かである。だから西表島や竹富島なんかには気楽に行けるのだけれど、波照間島と石垣島の間には外海が広がるので波が高く、船もよく欠航するらしい。
そこで、日帰りにして宿泊はやめ、気象状況を見ながら行くかどうか決めることにして、さらに念のためセミナーツアーの日程も4日まで空けておいた。
だって雨男だもん。去年なんて梅雨を避ければ雨は降らないだろうと思ってGW直後に沖縄ツアーを設定したら台風が直撃したんだもん。

ところがぎっちょん、今回は梅雨が明けたのではないかと思うような好天に恵まれ、何より気になる波高も一番低い時期に当たったようで、これなら行ける!と昨日判断し、急遽レンタカーを予約したのだ。
出発のフェリーは朝8時半の出航。でもさすがに眠い。いっそ船を遅らせようかと何度も思ったが、何とかがんばって7時に起床。
最後までお付き合いいただいたカチナノリ夫妻とは昨夜お別れをした(と思う。酔っ払ってたからよく覚えてない)
ホテルで朝食をすませ、眠いなあと思いつつ、すでにがんがん暑い中を離島フェリーターミナルへ。

8時半に高速船「あんえい」で出発。海は凪いでおり、びゅんびゅん快適に航行。黒島が見える。いずれ行きたい。
1時間ほどで波照間島に到着。ターミナル近くのレンタカー事務所へ。
名前と連絡先を書いて、免許証を見せて、それだけで手続き終了。
てか、事務所は仮設ハウスで、屋外にテーブルおいて、そこで受付だもん。クレジットカードで払うなんてゼッタイムリということが直ちにわかるシチュエーション。
そして「そこの横に止めてあるから乗っていって」と言われた。
保険の説明もキズのチェックもなし、帰りにどこで給油してくれとか、そういった説明もなし。
まあ与那国島での経験でそうだろうなとは思っていたけど。

車はやはりロックもせずキー付けっぱなしで置いてあった。乗り込むとカーナビなし。そこでシガーソケットからUSBケーブルを取ってタブレットでカーナビがわりに。こういうこともあろうかと一式持ち歩いているのです。
さらによく見たらガソリンも3/4くらいしか入っていない。道理で満タンにして返してくれと言われなかったわけだ。なんかもう日常使いの車をちょっと貸してもらった気分である。

走り出してまもなく、自動販売機の横で山羊が草を食んでいた。近づいても逃げない。やはり期待通りのゆったりした世界がこの先に広がっているようだ。

まっすぐな道が海まで続く。まわりは草地かサトウキビ畑。すれ違う車もなし。これも期待通りだ。

道路脇の草地では山羊がのんびりと草を食んでいる。放し飼いかと思ったがちゃんとつながれている。除草にもなるし、便利なのだ。

今回の目的である日本最南端の碑に到着。
その手前に「波照間の碑入り口」とあって、何やら小径が作られている。
沖縄が本土復帰したときに、全国の青年が各地の石を持ち寄って埋め込んだのだそうだ。「この一つ一つの石が我が国の礎となり沖縄の新たなる出発となることを念じて」とあった。汗を吹き出させながら、いろいろと、深く深く考えてしまった。

福井県の石もあった。左側の黒い石は静岡県なので富士山の玄武岩だな。福井県の石は何だろうと思ったが、しゃがむとくらっとしそうになったので考えるのはやめた。

最南端平和の碑。 「平和の碑」とあるところに思いを感じる。

碑の海側には、海に向かって日の丸が掲げてあった。今の時代だから「ここは日本の領土だぞ!」とアピールしているようにもみえるけれど、波照間の碑の説明を読んだ後の私には、平和の碑の後ろに立つこの日の丸には、もっと違う思いが込められていると思った。

海岸まで出てみた。青い青い、広い広い海だった。季節は梅雨のまっただ中なのだが、これは奇跡か。ふと以前習った雨乞いの踊りを踊ってみようかとも思ったが怖いのでやめた。

波照間中学校の同窓生が成人記念に作ったらしい小さなモニュメントがあった。
波照間島には中学校までしかないから、高校に進んだら子どもたちは島を離れる。きっとそのまま島の外で暮らすことになる子どもも少なからずいるだろう。そういう子どもたちが成人式で帰ってきたときに作ったのだろう。離れても心は一つなんてクサイ言葉があるけれど、このモルタルに自分の名前を書き込んでいく20歳の子どもたちの思いはどれほどだっただろう。

近くに星の観測ドームがあったので行ってみたが、プラネタリウムが壊れているので屋上からの展望だけしかできないと言われた。そのために入館料400円は高いのでやめたが、このギンギラ太陽の照りつける猛暑の中をプラネタリウムに入るのもオソロシイ気がする。

玄関先に山羊の親子が寝ていた。子ヤギは母山羊にもたれて気持ちよさそうに寝ていて、すぐ横を通ってもうっすら目を開けるだけだった。

波照間空港を発見。なんだキレイな空港があるじゃないかと思って行ってみたが閉まっていた。
800m滑走路があるのだが、2008年から路線がない状態になったらしい。

2015年に運行再開がほぼ決まり、ターミナルも新築したのだが、台風やら事故やらがあって、運行再開が未定になっているらしい。真新しいターミナルの中はがらんとしていた。
この時点で到着からまだ2時間もたっていないのだが、もうだいたい見るべき所は見てしまったなあと思ったので、のんびりドライブした。そしてのんびりした光景をいっぱい見た。

「集落」っておおざっぱな…

街路樹がアダンというのもすごいが、この歩道、誰が通るんだろう。
歩道は草ボーボーでレンタサイクルの観光客は車道を走っていた。
車なんてめったに通らないんだから、それで何ら問題はないのだ。

入るな!って鍵も扉も開いてますけど…^^;

港の近くにあるビーチに人はおらず、ひとりじめ状態。与那国島ではこういうところでオリオンのノンアルビールを飲みながらのんびり気持ちよく過ごした。時間もあるからそうしようかなあとふと思ったが、日陰もないし、暴虐ギンギラ太陽が照りつける中をのんびりするなんて無理だよなあ。

集落に向かう路地を走っていると食堂があったので入り、スーチカー(豚肉塩漬け)定食を食べた。軟らかい三枚肉はしみじみと甘く美味しかった。
真っ黒な地元のおっさんが入ってきて一言「そば!」と注文して八重山そばを食いはじめた。なんだ、そばがあるなら私もそっちを食べればよかった。スーチカーも地元ならではの食材で興味はあるのだけれど、どうも沖縄に来ると1日に1杯はそばを食べないと落ち着かない。

集落の中心部。民家と民宿と郵便局。あ、駐在所もあったな。小中学校があって、何やら音楽の音が聞こえてきた。そうか、海岸の小さなモニュメントを作った子らはここを巣立ったのか。
校門の前で測量をやっていた。本当に暑そうだった。ご苦労様です。

集落の横に「コート盛」があった。旧藩時代に船の運航を監視し通報するために烽火を揚げたのだそうだ。

試しに登ってみると、サトウキビ畑が続き、海と空が広がる光景があった。
まだ12時すぎ。上陸から2時間半。もうやることも特になく、ビーチでのんびり…ってとても無理なので、帰りの出向までまだ1時間あるけれど車を返すことにした。

レンタカー事務所に戻ってみると、鍵を付けたまま置いといてくれたらいいよという張り紙。
しかしそれが十分納得できる、のんびりと時間の流れる世界だ。
給油もせずに事務所の横に車を止め、キーをつけたまま、もちろんロックもせず、ただ荷物を下ろして、何ら手続きすることもなく港へ歩いた。

旅客ターミナルはクーラーもなく暑いので、外にあるベンチに座っていた。外の日陰のほうがずっと涼しい。海風が時に強く、時に弱く流れていく。この変化がまた心地よい。
もう車は返したのだからビールでも…と思ったが、がまんしてバッグからPCを取り出し添削を始めた。
でもぜんぜんできない。頭がのんびりしようとモードになっているのだ。そうだよね。こんな島であくせく仕事をしちゃダメだよね。
メール処理を少しだけしてPCをバッグに入れ、海風を楽しみながらぼんやりしていたら、さっきのレンタカー事務所が目に入った。いつの間にかスタッフが来ていた。
さっきは車をそのまま放置しただけだったけど、さすがにあれはまずかったのではないかな、何か問題があったら電話が来るだろうから、行かなきゃな、と思ったのだけれど、そんな電話もなく、スタッフは何もなかったようにレンタカーを並べなおしていた。ああやって次の船から降りてきた人にまた貸して、その人はまた乗り捨てて(本当に乗り捨てて)帰っていくのだろう。そしてガソリンがなくなってきたら給油して、また貸すのだろう。ちなみにレンタカーは1時間1000円である。

13:10波照間発の高速船は、静かな海を快適にびゅんびゅん飛ばしていく。向こうには西表島がのったりと横たわっている。

2時過ぎに石垣島へ到着。これにて6時間弱の離島ツアー終了。
一番暑い時間帯だが、これはもう36度かそれ以上あるに違いない。公設市場の近くの店でかりゆしウェアを買い、暴虐ギンギラ太陽の下をホテルまで歩いたがもう汗びっしょりである。

ホテルの部屋に戻りクーラーをかけてほっとし、外を見ると真夏の光景だった。
夕方、ホテルのレンタサイクルを借りて食事に出た。最初からレンタサイクル借りりゃよかった。

ずっと飲みまくり食いまくりだったから、夜は八重山そばを簡単に食べて済ませ、ホテルの部屋でずっと添削をしていた。昨日今日と進んでいなかったから、さすがにやらないと少々まずいのだ。
夜中すぎまでがんばって風呂に入って静かに就寝。

去年の与那国島と同じく、波照間島もゆっくり時間が流れていた。
私はかなりせっかちなタチで、昔から5分10分と空き時間ができるとすぐに「この時間に何かできないか」と考えてせかせかと動き回るのだけれど、与那国や波照間に行くと、「そんなことする必要どこにあるのー」と山羊が語りかけてくる。
離島はパラダイスではない。与那国島の久部良バリのように想像を絶する苦難・貧困があったろうし、今も水事情その他様々な苦労があるだろう。波照間空港はもともと緊急着陸空港だったらしいが、大きな病気になったらどうするかという不安もあるだろう。
だから私が「いいなあ、ゆったりしているなあ」と思うのは何も知らない通過者だからなのだが、それがまた旅行者の特権でもあるわけで、このせかせか男がほんの数時間滞在して、気持ちをゆるゆるにしてもらった、最高の心のマッサージをしてもらったということなのだろう。
さて、これで八重山は石垣・西表・竹富・与那国・波照間と訪れた。次回は黒島や小浜島というところだろう。またきっとゆるゆるしに行きたい。

4 件のコメント:

  1. KMコバ@大明神2016年6月2日 21:01

    今回沖縄~石垣と大変お世話になりました~
    波照間も晴れていて何よりでした(^-^)

    でも石垣の午前は、局地的スコールがあったみたいで・・・。
    私の晴れパワーが及ばなかった事を申し訳なく(><)

    ・・・・。
    というぼうずさんが喜びそうなネタを仕込んでおきます。(ニヤ)

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    1. 今年はAPECさんが去ったあとに雨が追いかけてくるようです。
      KMこぱさん、あなたのパワーのせいではありません(^-^;。

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  2. カチナノリ2016年6月2日 22:46

    波照間まで、絶好の天気よかったですね。
    そろそろ、雨男返上できるかも、石垣島は広がる緑の大地と真っ青な海、コンストラストが絶景でしたね。
    私も、ゆっくりできてよかったです。
    ありがとうございました。

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  3. KMコバさん、ありがとうございました。
    午前中の雨は、きっとコバさんが川平湾まで離れていた分だけ雨が降ったのかと。^^;

    カチナノリさん、こちらこそ本当にありがとうござました。今度は高知でよろしくお願いいたします。

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