最初にお断りしておくが、今回はこの間のプレートテクトニクスの話に関連する、カタ~~~いというか、マニアックな話ですから。
先月のことだけれど、面白い記事が出ていた。
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海上保安庁は20日までに、沖縄県久米島沖で、海底から煙突状に突き出した熱水噴出孔(チムニー)が、約45ヘクタールにわたり分布しているのを見つけたと発表した。同庁によると、日本周辺で確認されたチムニー群では最大規模。担当者は「地中に金や銀、レアメタル(希少金属)の鉱床が眠っている可能性がある」と期待を示している。
同庁が6月下旬に無人探査ロボットで調査、分析を進めていた。水深約1400メートルの海底に100以上のチムニーが林立。高さ20メートル以上のものもあり、周囲にはチムニーが崩れたとみられる高さ10メートル程度の盛り上がり(マウンド)も多数確認された。一部は熱水を噴き出していた。
チムニーは、海底から噴き出す熱水に溶けている銅や鉛、亜鉛、鉄などの金属が低温の海水と反応、沈殿して形成される。これまで国内最大とされていたのは、沖縄本島の北西沖にある約33ヘクタールのチムニー群だった。
=======================(日経新聞電子版:2014.09.20)
こういう現象は大西洋中央海嶺で代表的に見られるが、プレートの発散境界、つまりマントルが上がってきてプレートになって左右に分かれていく境界あたりでよく見られる。
そしてこの熱水はいろんな物質を含んでいて、金属鉱床を形成しつつある。その中にはレアメタルも含まれるから注目されているのだが、個人的にはこれは「黒鉱」鉱床が作られつつあるのだろうと思って注目している。黒鉱というのは、日本の新第三紀に特徴的な鉱床で、黄鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・方鉛鉱の4つの鉱物が代表的なものだ。名前のとおり、鉄・銅・亜鉛・鉛だが、周囲には金や銀、その他レアメタルが集積する。
黒鉱が形成された時代は日本海ができた時代である。
プレート境界が発散型になり(今はどう考えられているのかよく知らない。私が認識していた最後の有力仮説は、プレートの沈み込みモードが水平圧縮の強いチリ型から圧縮力の弱いマリアナ型に変化し、それに伴ってこれまで太平洋側からぎゅうぎゅう押されていた圧力が弱くなり、これに伴いユーラシアプレートの一部がちぎれて太平洋側に移動したのが日本列島であるというものだ)、それに伴い広域的な水平応力が圧縮から引張に変わって、プレート(日本列島のマイクロプレート?)が南に移動、できた裂け目が日本海なのだが、そこに盛んに噴出した熱水から黒鉱鉱床ができたと理解している。
つまり今沖縄周辺の海底で起こっていることだ。炭鉱みたいに坑道を掘らなくても海底に露出した熱水起源の堆積物を取ってくればいいので、深海への対応と製錬ができるようになれば、大いに注目できる鉱床ではないだろうか。
…いやあ、やっぱマニアックな話だったなあ。
まあともかく、海底資源は海洋国家たる日本ならではのポテンシャルでもあるし、ぜひモノにしてもらいたいものだと思う。
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