2011年10月27日木曜日

ころび拾い

午後から上根来で「ころび」拾い。
ころびとはアブラギリのことで、種を圧搾して油を取る。灯油や和傘の撥水剤などとして利用され、さらに絞り粕は肥料として重用されたため、かつては米の収穫後の貴重な収入源であったという。
放っておいてもどんどん成長し、実や葉に弱いけれど毒があるのでシカも食べず、食害で荒廃しきっている山にあって「どこにでもいっぱい生えている」木である。近年はバイオエタノール等々の側面からも注目され、なかなかに面白そうな木なのである。

若狭東高校の先生と生徒、それに我々観光局市民幹事会体験部会の4人で、梅もぎ用に使うカゴにころびの実を拾い集める。
生い茂るのはほとんどころび。

とにかくいっぱい実が落ちている。
こういう作業は無心でできるので本当にいい。というか、座禅をしている時の精神状態に似ている。
頭に浮かんでくるものをそのまま受け止めつつ、こちらは空っぽですみたいな状態にして、あれこれぼんやり思いつつ手を動かしていると、そのうちふわんと真空みたいな気持ちになって、目も手も動いているのだけれど、心はなんだかふわふわしているような状態になる。これが気持いいのですね。

みんなで拾ったころびはブルーシートの上に広げて乾燥させる。まあ1ヶ月というところか。
焚き火を作り、クルミを炒って高校生にごちそう。火吹き竹ひとつに「おー」と声を上げてくれるのでこっちも嬉しくなってしまうのだ。
高校生が帰ってからも、我々はなお去りがたく、忍び寄る夕闇と寒さに抗いつつ焚き火を続け、山の中にシカの鳴き声が鋭く響く5時過ぎにようやく解散。
もう夕闇が奥山に蓋をしつつある中を下山。思えばこの道はもう25年以上前、小浜に帰ってきて最初の年に地すべり調査として毎週通っていた道なのだ。同じ道を、今は仕事ではなくNPO・市民活動として頻繁にやって来ることになった。隔世の感というか、なんという巡り合わせかと感慨深い。

下山して用事をすませて木曜会へ。最近できた店だが、なぜか宮崎地鶏を扱っている。黒く焼いたコリコリの地鶏、ああこの味である。ここ2年ほど縁遠くなっている宮崎だが、縁さえあれば(というか、宮崎の皆さんのお邪魔でさえなければ)ぜひまた行きたいものだ。

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