2011年12月23日金曜日

オシンコ

最近はボディバッグにバイオPやギャラタブ入れて身軽に行動しているわけだが、文庫本も1冊しのばせるようになってきた。
たいていは椎名誠か東海林さだお。このご両人、文体は実によく似ている。一方がゴーストライターではないかと思うほどだ。
まあそんなことはどうでもよくて、空き時間に気楽に読める人畜無害エッセイとして大変ありがたいのだが、ご両名とも東京人らしく漬物のことを「お新香」という。
…いまGoogle日本語入力で「おしんこう」と入れたら変換できず、「おしんこ」と入れたら変換できた。正式名称が「おしんこ」だったのか!知らなかった。というか、お新香って、漬物のうち一部だけ、浅漬みたいなやつだけをいうのかと漠然と思っていたくらいだ。

事程左様に、東京の(江戸の?)食文化が自分のそれと大きく違っていることを再認識することが最近多い。東京滞在日数が多くなったからね。
とにかく醤油をばんばん使う。お吸い物など醤油をお湯で薄めた汁にしか思えず、なかなか飲めないし、カツ丼の卵が黄土色になっていることもある。
麺類についてはいまさら語るまでもあるまい。うどんは茶色くなっているし、そばもかけそばはしょっぱくて食べられない。ラーメンならOKだが、驚いたことにラーメンに海苔が刺さっている。

面白いのはお雑煮だ。小浜周辺ではお雑煮といえば丸餅を味噌味で煮て食べる。しかし東京は角餅を焼いてすまし汁で食べる。共通点は「餅を食べる」ことだけである。さらには小浜では餅以外入れないのだが、東京では餅以外にも鶏肉だのかまぼこだのといっぱい入れる。あれにも驚きましたね。お正月はお節があんだから、あっちでいろいろ食べればいいじゃない、なんで雑煮にまでごてごて入れるの、江戸っ子のくせに野暮なんじゃないの…なんて思ったりするわけですね。悪口を言っているように聞こえるかもしれないけれど、素直に驚いているのですから誤解のないように。

「何それ?」というナゾの食べ物も多い。
まずは「もんじゃ」。どうやらお好み焼き方面の食べ物らしいということは知っていたが、見たことも食べたこともなかった。昨年ついに念願かなってもんじゃを食べることができたが、不思議な食べ物だなあと思った。
「どら焼き」もナゾの食べ物だった。「ドラえもん」があるから「どら焼き」という食べ物があるのは知っていたけれど、そんなものどこにも売ってなかったから(今はそうでもないけど)、ずっとナゾだったのだ。
甘味処といえば「スアマ」というものがあるらしい。東海林さだおさんのエッセイに出てくるのだが、これなどもう味も形も材料も何もわからない、ナゾ中のナゾである。
そうそう、「麦とろ」もナゾの食べ物だ。むかし「どっちの料理ショー」という番組があって、そこで何かと麦とろの対決となった。いつもは「あー、これ美味いよね。でもこっちも美味い。どっちが勝つかなあ」なんて感じなのだが、このときは「…何それ?」であった。山芋のとろろが飯にぶっかけてあるらしいが、じゃあ「麦」って何だ?麦飯なのか?といまだにナゾのままである。もちろん食ったことはない。
佃煮もナゾであった。そういうものは売っていなかった。今ではスーパーに普通にあるけど。
こうしてみると、本当に「この食べ物がなんでこうなるの?」とかナゾの食べ物が本当に多い。日本人は「島国根性」があるから、自分のまわりの常識が日本国中の常識だと思ってしまいがちだけど、生活の根底にある食文化にこれだけ違いがあるのは本当に面白い。

しかし「お新香」かあ…私のボキャブラリーの中にはなかったなあ。あ、味噌汁のこと「おみおつけ」というのもない。

7 件のコメント:

  1. おしんこに我が知床の「オシンコシンの滝」を掛けた高度な洒落。
    地味すぎて俺以外理解不能ですよ(笑)(^_^)v

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  2. う、気づいたか。…って、そりゃわかりますよね。^^;
    あ、この滝は2つに分かれていて、手前がオシンの滝、向こう側がコシンの滝です。笑、

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  3. オシンコシンの滝には,知床さんのコメント見るまで気づきませんでした。ちなみに今オシンコシンの滝と打とうとしたら「お新香心の滝」と変換されました。私よりよっぽど,パソコンの方が洒落上手のようです。

    で,本題の方,そばのつゆの話,何かのテレビでやっていましたが,色の濃い関東より,関西の色白のタレの方が塩分濃度が高いと言っていました。人の味覚は見た目に左右されるという話でした。
    ちなみにうちの雑煮は,氷見市+八戸市ですが,角餅,鶏肉,だいこんん,にんじん入りで,すまし汁です。

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  4. 薄口醤油だから塩辛いですよ。ただ量を入れませんから薄味になります。東京の方は醤油の味と匂いがしないから頼りなく感じるようですね。
    だいたい福井~富山の北陸と名古屋~静岡あたりを結ぶ線が何でも境界になっていますね。角餅・丸餅境界、アホ・バカ文化圏境界、赤味噌・白味噌、50Hz・60Hzなど。暖帯性照葉樹林の北限もそうですね。

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  5. こんにちは。omochです。
    フォッサマグナ文化境界説?前からなんとなく私も感じてました。マクドとマックもそうでしょうか??
    でも、お雑煮文化は多種多様のようです。
    お餅の形や味噌か澄まし汁かとか。確か四国はぜんざいだったような・・・。
    以前、danchuの特集になってました。

    ちなみに脱線しますがクマゼミの限界線は静岡です。尋常ではないあの鳴き声は関東育ちの私にとって衝撃でした。はい。

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  6. 小浜のお雑煮は餅以外は入れないんですかっ!?
    知りませんでした。

    お椀の中にぽつんと餅だけ…あっさりというか、ちょっとさみしく感じちゃいそう。

    前もこの話題で釣られて書き込んだ気もするのですが、私はず~っと東京仕様です。
    濃いめの色の醤油、それも私の育ってきた文化なのでオッケー!

    ちゃ~んと焦げ目をつけた餅でないとダメなんですよ、個人的に。

    しかし、そもそもその東京仕様は、お節のあとに最後にサッとしめる食べ物としてゴテゴテ入らないお雑煮だと信じていました。

    いや、もしかして、餅以外は入らないお雑煮は、小浜でもAPEC家だけの仕様だったりして(笑)。

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  7. お雑煮は本当にいろいろありますね。香川から徳島あたりは餡を入れてさらに砂糖をかけるとか。
    実は具のないお雑煮は若狭地方だけのようで、京都あたりにいくと具がけっこう入っているようです。
    具のない雑煮で育った私には東京の雑煮は驚きだったということです。
    なお味噌煮なんで、汁と餅が一体になって「ぽつん」という感じはなくなっています。

    クマゼミはあんなに多くなったのは近年ですね。京都あたりだと閉めた車の窓ガラスを通してでもすごくうるさいです。

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