2022年11月21日月曜日

4/11:賢治ワールドへ

今日はオフである。明日のうちに松山に移動すればいいので、いったん小浜に帰ろうかなとも思ったのだが、慌ただしすぎるので、オフ日として前から言ってみたかった花巻に行くことにした。お目当てはもちろん宮沢賢治である。

新花巻駅でレンタカーを借り、まずは宮沢賢治記念館へ。

いろいろな展示があるのだが、何やら文学とは無縁そうな展示がいっぱいある。

なんと地質調査のルートマップまである。

日本で初めての農学校の教諭を務め、土壌から地質、さらに天文まで通じていた、典型的な理系の人であった宮沢賢治である。なのにあのような童話や詩を書いていて、そういうところに私はすごく憧れる。スノウが「二つの文化」として表したように、文系と理系というのは文化が異なると言えるほど相通ずるところはないといえる一方で、このように両方にまたがって人間の幅を広げた人もいるのである。
大学生のころであったか、そのことを知ってから宮沢賢治はずっと憧れであったし、私もできるならばそうなりたい、理系の頭と文系の頭を兼ね備えたいと思って生きてきた。そんな私が宮沢賢治の世界にどっぷり浸れる至福の時であった。

いやあ堪能したなあと外に出て、ふとうしろをみますと、立派な一軒の西洋造りの家がありました。
「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」とちゃんと書いてある。

もちろんクリームを塗りたくったり香水をかけたり塩を揉み込んだりすることもなく、美味しい郷土料理が出てきた。犬も猫もいない中、ゆったりした気分で贅沢な昼食を摂った。

続いてすぐ近くにある童話村へ。広々とした広場。いい季節に来て、寝転んだり歩いたりして時間を過ごしたいところだ。右側に見えるのが賢治の学校、左側の高台の木造が賢治の教室。

抜けるような青空。植生も小浜とは全然違う。時間はたっぷりあるという心の余裕の中で美味い空気をたらふく味わった。

せっかくレンタカーを借りたのにもったいないから花巻市街を抜けてイギリス海岸へ。ここは北上川のバイパス流路を人工的に作ったことに伴って、地山の泥岩が露出することになったところで、今はダムの維持流量放水でほとんど見えないが、賢治の頃には渇水期には一面に泥岩が露出し、それが乾いて白くなった風景がイギリスのドーバーの白い崖にも見えた頃からイギリス海岸と名付けたらしい。

川の中には露頭がちらほら見え、ポットホールらしき凹凸も見える。賢治はここに学生を連れて実習に来る傍ら、偶蹄目の足跡化石を発見したりもしたらしい。

河原を少し歩くと泥岩が露出していた。鮮新世の泥岩とのことで、道理で柔らかい。

これは二枚貝の雌型ではないだろうかと思うのだが、もう時間もあまり無くなっており、ましてハンマーもタガネも持っていないからどうにもならずに帰路についた。

新幹線で東京へ。山手線で新橋へ。花巻の宮沢賢治ワールドからいきなりこんな世界にやってくるとクラクラしてしまう。

夕食はもう店を探すのも面倒だったので、ホテルの中にあるイタリアンの店でなんともシャレオツなメシを一人で食った。

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