2019年1月3日木曜日

鯖缶うどん

時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき、つかのま、私は自分勝手になり、自由になる。誰にも邪魔されず、気を遣わずものを食べるという孤高の行為。この行為こそが、現代人に平等に与えられた、最高の癒しと言えるのである。

「孤独のグルメ」のイントロナレーションだが、私は旅先でけっこう勝手気ままにメシを食っている。
時には居酒屋のカウンターで猪口酒を汲みつつ地元産品をつつく「一人居酒屋」を楽しむし、ギョーザにレバニラ炒めを食いながら生ビールをぐびぐび飲むといったやくざな晩メシを食うこともある。
小浜にいるときは市内の好みの店で好みのものを食ったりもするのだが、自宅で自分が食いたいものを食いたいように自分で作って食うのもまた楽しみだ。
思うに、家族の晩メシを作っているときなどは、「人に食わせる」と思っているので、栄養のバランスだの量の加減だの見た目だのをけっこう気にしているが、自分一人の昼メシなどはそのあたりにまったくこだわらず、ただもう欲しいものを欲しいように作る。

たとえばこれである。今日は、早朝に息子夫婦が千葉に帰り、午前中に上の妹一家が福井に帰り、午後に下の妹一家が奈良に帰って、昨夜は総勢15人いた我が家は一気に老母と我々夫婦の3人に戻った。お正月料理をがんばって消費したのだが、夜にイッパイ飲んでいたら、腹が減った。女房はもう寝ている。
こういう時は「やりたい放題」である。
乾燥の「ざるうどん」をゆで、湯切りして熱々のところをドンブリに放り込み、そこに必殺必死の鯖缶をまるごと放り込む。以上である。
これがうまいんだ。夢中でわしわしと食ってしまった。

ただしこれは、我が小浜の鯖缶でないと美味くない。そのあたりのスーパーで打っている1缶100円~300円くらいの鯖缶ではよくない。小浜には鯖缶を製造販売している会社が3社あるが、どれでもクオリティは同じくらいだから、どれでもよろしい。1缶500円以上するが、間違いない味である。
全国チェーンの安い鯖缶とどう違うの?と言われても言葉ではうまく説明できない。もうとにかく美味さが段違いなのである。
我が家はこの2年のうちに2人の子どもが相次いで結婚して姻戚が増えたのだけれど、最初のうちは同じ海産物でも高級な感じのする、水産のまちならではのものを選んで送っていたが、かしこまらなくてもいい仲になると鯖缶が登場し、例外なくこれが一番ヒットする。いろんな方に送る中元歳暮にも欠かしたことはない。
「ま、一度食ってごらんなさい」としか言いようがない逸品である。
そのままおかずにしてもよし、うどんやパスタにぶっかけてもよし、キャベツなどと一緒に煮込んでもよしである。味噌味の鯖缶は、たっぷりのチーズと一緒にレンチンするとまた格別である。

こういった、地場産B級グルメは、勝手気ままにメシを食いたいときに欠かせない。
あ、うどんに小浜の鯖缶をぶっかけるときは、ちょっと湯に通すだけで食えるふにゃふにゃの袋麺よりも、ゆでるのに5分以上かかるような乾麺のほうがいい。腰がしっかりしていて、鯖缶をしっかり受け止めてくれる。

0 件のコメント:

コメントを投稿