午後、娘が大阪に帰り、また我々夫婦と両親の静かな日々に戻った。
相変わらずキモチワルイほど暖かい日々が続いている。浜に出てみると、今年は冬の荒波がほとんど来ていないことがわかる。なぜって、砂浜と背後の草の生えた平坦な部分の境界、バンカーでいうアゴのところがあまり切り立っていないもの。海が荒れるとここがてきめんに浸食されるのだ。
夜ごとの宴会もなくなったので、落ち着いて本の執筆を本格的に進め…のだが、こういう「期限があってやらなければならないこと」」があるときは、部屋の掃除とか、いつもはやらないこと、何も今やらなくてもいいことをやりたくなってしまうものだ。…これはオレだけか?いや、きっとそんなことはないはずだ。
で、よりにもよって何を始めたかというと、昔のカセットテープの録音をMP3データに変換するという面倒くさい作業を始めてしまった。
いつかやろうと思って数年前に買った、カセットテープを再生してUSBから出力するプレイヤーを引っ張りだし、部屋の隅で寝ていたWinsowsXpパソコンを持ち出してソフトをインストールし、MP3変換しながら本の執筆をしようという作戦に出た。
いったい何をMP3変換するかというと、実は自分の自作自演の曲である。
私は高校1年でギターを始め、大学3年くらいまでバンドをやっていた。そんな中で100曲以上のオリジナル曲を作り、それをカセットテープに録音していた。それが当時は破格の贅沢だったアルミダイキャストフレームのメタルカセットテープに保存してあるのだ。
最初の曲は高校2年の時のものだが、軽音部みたいなものがあるわけでなし、カセットデッキやらいいかげんなマイクやらを集めてきて録音し、さらに多くの曲は自分自身でドラム・ベース・ピアノ・ギターを演奏して最後にボーカルをかぶせるという、かなりの多重録音を、それもアナログカセットのダビングでやっているものだから、音質は極めて悪い。テープも伸びているものがあって、音程がふわふわする。油ぎれみたいなキーキー音すら入るものもある。歌の下手さ、ギターの下手さに呆れる。
でも、まごう事なき自分の声、自分の歌詞、自分の曲である。
たちまち高校時代の自分がよみがえってくる。失恋もした。悩みもした。いろんなことを考えていた。自分の器いっぱいになるくらいに。
でも時の流れというのはオソロシイもので、大部分を忘れてしまっていた。単なる現象として、どんなことがあったかは覚えているけれど、当時の自分のメンタリティのようなものはとっくに忘れてしまっていた。
ところが歌というのは、それも自分自身が作った歌詞や曲というのは、そこに埋め込まれた様々な思いや感覚をそっくり蘇らせてしまう。それも35年以上前の自分の声が歌っているのだ。
こりゃあマズイものに手を付けちまったなあと思うのだけれど、始めたからには最後までやらないと。
50曲まで行ったところで、さすがにダウンした。続きはまた明日だな。
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