金沢で土木学会ご依頼の講義。受講生は26人だったかな。
ちょっと少ないなと思っていたら、「なんでもこれまで何をやっても人が集まらなかったので、今回は画期的」なんだそうで、なんともこそばゆいやら。
で、いつものように私なりにがんばって(いや、本当にがんばってるんですよ。講義にせよ、プレゼンにせよ、人前で話すときはいつも全力を振り絞っています。特に意識しなくてもそういうモードになっちゃうので、手抜きができないんです)講義をしていたのだが、中に一人、メモも何も取らずに、こっちをボーッと見ている人がいる。顔には緊張感というか真剣みがまったくない。
「ん?」と思いつつ講義を進めたが、よくわからない。
企業などに招かれて講義するとき、こういう人はたまにいる。会社が受けろというから受けているだけ、受験も会社が受けろというから受けるだけで本当は受けたくない。だからただ時間が過ぎていくのを待っている。
それはまあ仕方ないものだと思うようになった。会社の社員みんなが積極的に受験するのを望むのは無理な話だ。技術者であるからといって、だれもが技術士という資格に熱意をもって挑戦するわけではないのだ。もちろんたいていの人は資格はほしい。だけど全ての人が技術士という資格に手が届くわけではない。そのためにはかなりの努力が必要だ。
たとえば建設コンサルタントなら、RCCMという資格が一段低い所にある。それで満足することはたやすい。その先に挑戦しない理由なんていくらでも言える。家庭のことだったり地域のことだったり、最後は「オレ、そこまで賢くないし」と言ってしまえば済むことだし。
だけど、今日の講義は休日に開催している自由参加の研修会のはずだ。企業依頼でもない。なのになんで?と思いつつ、講義を終えた。
なんというか、これは決して自画自賛ではないけれど、講義が終わるころには「よくわかった」感を顔中に表している人がいてくれて、これが疲れを吹き飛ばしてくれるのだが、くだんの彼は最後までメモも取らずに死んだ魚の目をして時間を過ごしていた。
そして最後に学会の人が、「CPD証明は受付で」と言ったのですべての疑問が氷解した。ああそうか、彼はCPDが欲しくてここにいたんだ。きっと彼は受験なんてしないんだ。だから他人事で死んだ魚の目をして時間を過ごしていたんだ。
CPDがほしいということは、きっと彼はRCCMか何かなんだろう。専門問題の講義のところで、「道路の人」と言ったら手を(少しだけ)上げていたものな。
でも、それならそれで効率の悪い話だなあ。RCCMは4年で100CPDを貯めないといけない。今日は押しも押されぬ土木学会だから認定CPDで、3時間の講義で3CPDH貯められる。でも休日の午後、ぼーっと3時間過ごして3点だ。100点のうち3点だ。彼はこんなことをあと何回するんだろう。
私もRCCMを複数部門持っているから毎年のように更新しているが、そこで提示するCPDの中に講習受講はほとんどない。今日のような講義もあるし、NPOとしての科学教育関係の活動もあるし、あれやこれやを合計すると必要CPDの数倍になる。これは別に自慢しているわけではなくて、そういうことだからCPDのために苦労したというか、「ただそこにいたというだけの時間」を過ごしたことがほとんどない。
それに今はセミナーツアーだということもあるが、とにかくボーッとしている時間はかなり少ない。
そういう生活を送っているだけに、彼の3時間は私の想像を絶していた。
なんだかぐったりしつつ金沢駅に戻ると、何やらにぎやかな音楽が聞こえてくる。
見ると、いわゆるヨサコイのようなものを踊っている。それはいいのだが、「石川さんカーニバル」ってなんだ?「石川さん」って誰?
…これか。そうか、ゆるキャラだな。ああそうか、このヘアースタイルが石川県なんだ。
石川さんはふわふわと金沢駅に浮かんでいた。
駅ビルでチューハイを1杯飲んで適当につまみを食って、うな重で〆てバスで小松空港へ。夜8時前の飛行機で羽田へ。そこからバスで近くのホテルへ。ロビーでまたチューハイを買った。うーん…
明日は帯広の屋台で元気を取り戻そう!
金沢カレーはどうすか(笑)
返信削除新宿にゴーゴーカレーがありますが、セミナー会場に
向かうため通り過ぎました(笑)