北朝鮮の飢餓も山が荒れてしまったことが大きく影響しているらしいが、事程左様に、治山治水というものに果たす森林の役割は本当に大きい。
小浜の山もどんどん荒れてきている。
林業衰退は植林地の間伐や枝払いの放棄につながり、「黒山」と言われる林床に日光の届かない森を作ってしまった。仕事で地表踏査をしていても、とにかく杉植林地は足元がぐずぐずで歩きにくかったものだ。
そんなところだから雨が降ればすぐに土砂が流出するし、表層崩壊も起こりやすい。平成16年の福井豪雨では杉植林地の崩壊が目立ったという。(ついでに間伐したまま斜面に放置されていた木が流出して橋にぶちあたって壊してしまった例も多々あるらしい)
さらに近年は鹿の食害が著しい。林床の草本類を片っ端から食べてしまい、真夏でも山の地肌が茶色く見えるという異様な光景を作ってしまった。
7月の上根来の風景。以前は緑一色だったのに… |
10月の相生の風景。林床に何もない。 |
ともかく、小浜の森は今危機に瀕している。林業衰退よりも鹿食害が一気に進んだのが大きい。唖然とするほど一気に森は荒れてしまった。
植生という点でも、失われてしまった種は数多いだろう。植物は生態系の基盤を成すから、こういった草本類に依存する昆虫類などは姿を消すことも考えられる。
そして治山治水という点では水害リスクのかつてない高まりとして現れるだろう。それでなくとも近年の局所的豪雨はハンパないのだ。
もちろんここまで食物を食い荒らしてしまえば鹿のほうもただではすむまい。増えすぎた個体数はまた減るだろうが、その前に山の草を食い尽くし、さらに畑を荒らしまわることになる。鹿だって餓死するのはいやだからね。
去年の冬は雪が多かったのでかなり死んだらしいが… |
しかし山の草本類は誰も守ってはいない。そして地下水は枯れ、土砂は流れ出る。そういう方向にどんどん進んでいる。
私はこの問題に直接携わる立場にないので、焼け石に水にもならないとはわかっているけれど、鹿肉を食べるとか鹿牧場とか上根来プロジェクトとかに関わっている。「何か楽しいことやろう」よりも「何とかしないとやばい」という思いが原動力になっているのも確かだ。
この町で、この問題の深刻さを感じている人はいったいそれだけいるのだろうという焦りというか恐怖みたいなものをずっと感じている。
やっぱり何かしないといけないな。…とまあ、こうやって自分で自分の首を絞めていくのだけどね。^^;
森林の荒廃は「公益の確保」じゃなく、公益的機能の低下ですね。
返信削除根本原因は農業と同じ、就労労働者の減少及び高齢化だと思います。
義父は83歳の今でも薩摩で森林保全員として木に登り、枝払い、間伐切出し等をやっています。
「危ないからやめて!」と義母や家内は言っていますが、こんな老人も必要とされるから問題点ですよね。
それは大変ですね。いくら慣れているといっても…
返信削除最近は間伐材の需要がかなり出て来ましたが、生産力が低下しているから大変ですね。
何とか市場を安定させて雇用につなげないといけないですね。
こちらは,鹿ではなく人災で公園林が荒廃している。
返信削除エセ自然保護団体が言うには,木がいっぱいあるのが良いのだ。「木は切るべきではない」
この意見に行政は,木に手をかけることを恐れ,樹木は育ち,枝は張り,実生木は増え,そして林床部へは日が差さなくなり,下草が消え,土砂が流出し倒木に至る。
また,密生する樹木達は,枝にまともに日も当たらず,我先にと頂上を目指し,本来の樹形にもなれずにいる。
子供達への見本林としての価値は無くなった。しかし,別の意味で教育の場として,間伐体験などをさせるにはいいかとも思っている。その辺は,ボチボチ進めようと思う。
あとは,エコということで,マイ箸がブームではあるが,適正な間伐による,割り箸は活用すべきと思っている。
なにごとも,バランスが大事と私は思っています。
間伐なしには里山なんぞ存続しません。植林の前にまず間伐です。
返信削除山の恵みをもらって生きてきた記憶はどこに行ったのか…
お互いがんばりましょう。