2014年1月4日土曜日

イリオモテ散策記

八重山2日目、今日は朝8時の高速船で西表島へ渡る。

午前6:30に起きたのだが、窓の外はまだまるっきりの夜。さすがは日本の西端の島々である。

8時前にホテルを出ると、ようやく夜が明けた風情であった。曇っているが雨が降っていないだけで十分である。
9時前に西表島の大原港に到着。西表島の形は横長の長方形がちょっと右に傾いたという感じだが、これを無理に円形に考えて時計に例えれば5時くらいにこの港がある。大きな集落はこの大原と、時計の12時あたりにある上原の2つで、いずれも石垣島や周辺離島との間に航路がある。冬は東シナ海に面した上原は欠航になることが多いそうだ。
西表島には外側を巡る周回道路以外に幹線道路はない。その周回道路も一周はしていなくて、時計の5時半から9時半の間、つまり島の南西側1/4ほどは道路がなく、周回道路は東側だけ、視力検査の左下が欠けた円のような形をしている。
そして集落はこの周回道路に沿って点在しているだけで、全部で15集落しかない。そのうえ一番西にある舟浮という人口50人ほどの集落に至っては船でしか行けない。人口は2,000人台で、コンビニなどない。
島の大部分は亜熱帯ジャングルで覆われる山岳もしくは台地で、「東洋のガラパゴス」と呼ばれるほど独自の生態系を育んできた島らしい。

とにかく島に着いてまずはマングローブを見ようということで、大原港に近い仲間川のマングローブクルーズに乗る。自分一人の旅の時はこういったツアーものには見向きもしない私だが、家族旅行の時は別である。なにせ女房が数か月愛読書のようにしていたガイドブックの中から選んだツアーなのだから、行かないなど考えられないのだ。^^;

見事なマングローブ林が延々と続く。
これは確かマヒルギだった…かな?
いかにも手つかずの自然という川の風景。
クルーズ終点近くにあるサキシマスオウノキの大木。
亜熱帯樹木で年輪が不明確なのでよくわからないが
樹齢はだいたい400年位ではないかとのことだった。
河畔に階段のようなものがあるのだが、ここから島の中心部を通って反対側に行けるらしい。

仲間川は島の5時ごろの方角から中心へ向かって溯っているのだが、そのちょうど反対側に浦内川という大きな川が11時の方向から溯っていて、この両河川を結ぶ道があるのでガイドを頼んでトレッキングできるらしい。昔道路がなかったころはこれが主たる行き来の道だったんだろうなあと思う。
西表島の主要河川はとにかく河口が広く、汽水域がかなり上流まで入り込んでいるので、マングローブ林の発達が非常にいいようだ。
クルーズを終え、今度はレンタカーを借りて島の東側を回り北上することにする。
島の3時のあたりまで北上。ここに「由布島」という小島があって、水深1mもない浅瀬でつながっているというので、水牛に牛車を引かせて渡るという観光コースがあるらしい。テレビでも時折放映されている。

行ってみると本当に牛車が行き来している。水牛がつまらなそうに車を引いていた。

由布島との間には何台もの牛車が行き来している。正月だが水は暖かく、観光客もわんさと来ているようだ。我々は昼食もまだで、時間までに船浦の港に行かなければならないので水牛は見るだけにして先を急ぐ。

ほど近いところにある食堂に入ろうとしたら、ちょうど店先でサトウキビを絞っているところだったので見学させてもらう。じょぼじょぼとあまり美味しそうには見えない液(というか汁)を絞っている。

搾り汁を温度管理をしながら煮ると、ペースト状に固まった黒糖が取れる。このフレッシュジュースというのがあったが、すっきり甘くて絶妙であった。買って帰りたいと女房が言ったが、時間がたつと酸化するので店で出すしかしていないという。金を出しても「お取り寄せ」などできない、こういうのが本当の贅沢なんだろうな。昼食は家族バラバラに頼んで食べまわすことにした。

八重山そば。この店のそばは豚骨ベースにカツオブシ?
石狩牛の牛丼。柔らかくておいしい。
リュウキュウイノシシ肉の炒め物定食。
ニンニクやニラが効いてかなり美味い。
満足して再び北上。ほとんど道路以外に何もないような光景が続く。とにかく自然の比率が圧倒的に大きい島なのだ。

西表島の山は標高400m台。沖縄県ではかなり高い部類。
時計の12時ごろの位置にある船浦港で女房と娘を降ろす。これからダイビングに挑戦するらしい。
私は食指が動かなかったので、夕方まで一人旅を楽しむことにした。気ままにハンドルを握り、しかし道は一本しかないので先へ(西へ)進む。
実は「星の砂浜」と「トゥドゥマリ浜」というところに行ったのだが、両方とも後刻家族とまた行くはめになった。^^;
時計の10時ごろの位置にある浦内川沿いに広いマングローブ林がある。

「保健保安林」って初めて見たかもしれない、こんな保安林もあるんだねえ。

まあとにかく広々と。「カメラアングルの中、自然物だけ」って北海道以外にあまりないと思っていたけれど、とにかく西表島の自然は広く深い。

浦内川にかかる浦内橋。昭和44年10月竣工とある。ということは…

そう、沖縄返還前の建造物である。「建造 琉球政府建設局」とある。うーむと感慨深く見入る。

時計の9時半のあたり、道路終点の白浜。ヒルギ(?)が植えられたように一列に並ぶ先にはもう道路はなく、その先に舟浮集落がある。1日の船便は4~5便。それでも観光ツアーに組み入れられ、それに対応したショップもあるという。うーむ。

ちょっと戻り、時計の11時半ごろのところにあるロードパークへ。マングローブの中を散策できると思って行ったら数10m程度の木道と展望台があるだけのこじんまりしたものだった。

展望台から見ると、人っ子一人おらず、足跡ひとつない広い砂浜が見える。
観光ツアーなどに参加せず一人で車でうろうろすると、半日程度でやることがなくなるとみた。船に乗ったり、ガイドとともに本気を出してトレッキングやダイビングをしたり、そういうことをしない限り特にすることがない。あるとしたらぼんやり自然を眺めることくらいだ。
きっとそういう島なのだなと思った。そういうところが西表島のすごいところなんだろうな。

荷物もあるので一足先にホテルにチェックイン。今回のホテルは女房が選んだのだが、もろにリゾートホテルである。

部屋の窓から見れば、ホテルの裏にはプールまであるではないか。私にはない選択肢だ。^o^;

家族も合流してホテルの裏のトゥドゥマリ浜に出てみた。ここは日没がきれいな浜らしいが、あいにく水平線の上には雲が広がって、「知床の奇跡」再現はならなかった。

夜はナイトツアーとしてジャングルなんとか。ヤシガニを見に行ったり星を見たりするらしい。
参加者全員懐中電灯を持ったりして森の中をうろうろしたが、見事にボウズ。まあこういうこともあるだろう。
人が日常的に活動できる範囲がすごく限られている、自然が圧倒的に優位を保っている島で、実に興味深い時間を過ごしたなあと思いつつ、不似合に豪華な部屋でベッドにもぐりこんだ。

レンタカーを返した後、ホテルまで送ってくれたお兄さんが、「島の人はあまり観光には従事したがらない。上原や大原のように観光客向けの施設が多いところは、7割は県外から来た人が住んでいる。島には高校がないから子供たちは中学校を卒業すると石垣島や沖縄本島の高校に行く。そのあとは島に帰ってくる子は少ない。帰ってきても石垣島までで止まる」と言っていたなあ。
人口3万人で、島外からやってきて住み着いた(しかし住民票は移してない)人も合わせると5万人くらいいるのではないかという石垣島から船で40分のところに、こんな島があるんだなあと、もう一度思った。
西表島は沖縄県で2番目に大きな島だけれど、ここは竹富町字西表、島全体がひとつの字なのだ…と思ったら、ゆめたくさんに指摘されて気がついた。島の西部が「西表」という大字なだけで、字としてはいくつかあるようだ。言い直します。
西表島は沖縄県で2番目に大きな島だけれど、ここは竹富町の一部に過ぎないのだ。こんなに広いのに、1つの島で1つの自治体ではないんだなあ。

4 件のコメント:

  1. ぱっと見、若干訂正を。
    欠航が多いのは、上原港です。
    西表島で一つの字ではありませんよ~いくつかあります。
    これでも、大原と新城の血を引いてますので(^^)

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  2. 早速の突込みをありがとうございます。「大原」は間違いでした。直しました。
    全体で1つの字というのも勘違いしてました。島の西部が「西表」という字なんですね。いやあややこしい。
    本文を修正しました。ありがとね。

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  3. ぼうずって、誰か呼びましたかぁ~(^^;
    ニラカナイに泊まったのですね。私は夏に家族で西表に行くときはほぼここに泊まります。

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  4. 家族でゆったり、数泊してのんびりするといいでしょうねえ。

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