今日はオフである。明日のうちに松山に移動すればいいので、いったん小浜に帰ろうかなとも思ったのだが、慌ただしすぎるので、オフ日として前から言ってみたかった花巻に行くことにした。お目当てはもちろん宮沢賢治である。
新花巻駅でレンタカーを借り、まずは宮沢賢治記念館へ。日本で初めての農学校の教諭を務め、土壌から地質、さらに天文まで通じていた、典型的な理系の人であった宮沢賢治である。なのにあのような童話や詩を書いていて、そういうところに私はすごく憧れる。スノウが「二つの文化」として表したように、文系と理系というのは文化が異なると言えるほど相通ずるところはないといえる一方で、このように両方にまたがって人間の幅を広げた人もいるのである。
大学生のころであったか、そのことを知ってから宮沢賢治はずっと憧れであったし、私もできるならばそうなりたい、理系の頭と文系の頭を兼ね備えたいと思って生きてきた。そんな私が宮沢賢治の世界にどっぷり浸れる至福の時であった。
「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」とちゃんと書いてある。
せっかくレンタカーを借りたのにもったいないから花巻市街を抜けてイギリス海岸へ。ここは北上川のバイパス流路を人工的に作ったことに伴って、地山の泥岩が露出することになったところで、今はダムの維持流量放水でほとんど見えないが、賢治の頃には渇水期には一面に泥岩が露出し、それが乾いて白くなった風景がイギリスのドーバーの白い崖にも見えた頃からイギリス海岸と名付けたらしい。
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