2011年7月19日火曜日

添削生活

まだ暗いうちからごそごそ音がして目が覚めた。硬い体育館の板張りの上に寝ていたので腰がゴリゴリする。
漁師&旅館業で朝早く帰らなければならないS君はじめ、みんなもそもそ起きだして4時ごろから帰る準備を始めた。誰もが熟睡はできなかったようだ。
雨はほとんどやんでいるが、風が強くなってきて、台風が近付いていることを教えてくれる。
少し明るくなってきたと思ったらすぐにヒグラシが鳴き始めた。
とにかく荷物一式を車に詰め込んで解散。自宅に戻り、テント2張りとバーベキューコンロ2台、マキの入った肥料袋4つ、火起こし道具1式、いろんな道具の入ったダンボール2箱などを汗だくになりつつ車庫階の倉庫にあげ、6時前に家に入ってシャワーを浴びてようやくほっとした。

筆記試験まで3週間をきり、添削依頼もペースアップしてきた。今のところ添削累計回数は934回にのぼっている。(うち859回までコメント返却済み)
あとまだ10日あまり受け付けるから、トータルで1,000回は越えるだろう。
この段階になって初回添削依頼なんてのもまだ来る。課題解決プロセスがまったく理解できていない人もいて、「今の段階でこんなことを言ってもなあ…」と思いつつ、こんなコメント(テンプレートで用意してある)を添える。

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  • 課題、つまり「このような困った状況だからこんなことをしなければならない」みたいな困難性を伴うけれどクリアすべきテーマについて整理して、そのあと「この課題を解決する方策にはどんなものがあるかなあ」と考えを進めてはいけません。「どんなものがあるかなあ」の時点で思い浮かぶのを待っています。そして「こんな方法がいいんじゃないかな」と思いついた方策は、まさに「思いつき」ですから、思いつかなかったらおしまいですし、他の人はもっといい方保を思いつくかもしれません。それでは「最短距離で最適解に到達する」ことが求められる技術士にふさわしくありません。
  • そうではなくて、課題を整理したら、そのあと「この課題を解決しようとすると、どんなボトルネックがあるかなあ」と考えるようにしてください。それは思いつきではなく、情報(現状)から導かれるはずです。そしてボトルネックが絞りこまれたら、解決の方向性は自ずと見えてきます。ならなら解決の方向性はそのボトルネックを解消・最小化することだからです。
  • たとえば「弱小野球チームを勝てるチームにする」というように課題が整理された場合、「この課題を解決する方策にはどんなものがあるかなあ」と考えると、「打撃強化」「守備力強化」「走塁強化」などいろいろ出てくるでしょう。つまり最適解ではない解もいろいろ出てきます。しかし「この課題を解決しようとすると、どんなボトルネックがあるかなあ」と考え、情報(スコアブックなど)から「ボトルネックは打てないことだ」とわかると、解決の方向性は「打てないこと」の解消、つまり打撃強化に限定されます。そしてこれが唯一解としての最適解になります。
  • 技術士の課題解決はこのように、ボトルネック(問題点)抽出→その解消による解決であることが求められます。だから採点基準に「問題点等の抽出分析」があるのです。
  • また、答案構成は次のようにすることがいいと思います。
    • (1) 最初に3つの課題に共通する現状等だけを書く。背景のような感じになる。
    • (2) 課題①→それに関する現状(課題①の説明)→「しかし」→問題点① という構成で課題と問題点をまとめて述べる。結論のあとで根拠が、それも隣り合ってくるので、読み手が理解しやすいし、「しかし」によって問題点が明確に表現できる。さらに課題と問題点がセットなので流れで理解しやすい。
    • (3) 課題②、課題③も同じように述べたあと、章をかえて解決策①、解決策②…と述べる。ここで解決策は、方向性→具体策の順で述べる。(そうすることで読み手が理解しやすくなる。
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こういった「入り口部分」が大丈夫になってくると、次に大事なのは題意に応えているかどうかだ。
たとえばこんな練習問題がある。

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地球環境や生態系の保全、循環型社会形成などへの配慮が求められるいっぽうで、国民の安全・安心で利便性の高い生活を確保する必要がある。我が国のおかれている様々な社会情勢を踏まえ、安全・安心や利便性の確保と環境保全の両立にあたっての課題を3つあげ、それぞれにおいて社会資本整備のあるべき方向性と建設分野の役割について、あなたの考えを述べよ。
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ここで単に環境保全上の課題をあげたのではダメで、「安全・安心や利便性の確保と環境保全の両立」の課題をあげないといけない。
出題者は何を思ってこういう言い回しをしているのか、どんな答えを期待しているのか。そのことを考えないといけない。

いっぽう総監は総じて呑気だ。とりあえず技術士にはなっているからということか、あまり悲壮感はない。
記述式問題の出題傾向を説明するテンプレートもある。

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まずは先にダウンロード案内したセミナーテキストの後半に掲載のH20~22記述式問題をご覧ください。全て以下のような構成になっています。
  1. プロジェクトを進める上ではいろんな「よくないこと」があるんだよという話
  2. これを踏まえて問題に答えるように指示し、どんなプロジェクトを取り上げるかを指定。また5つの管理とは何かを説明
  3. 設問(1):プロジェクトの概要や各種設定条件等を記述するように指示
  4. 設問(2):「よくないこと」の内容を記述するように指示
  5. 設問(3):上記(2)への対応を記述するように指示
ということで、ずっとワンパターンの出題です。ちなみにH19も同じです。
「よくないこと」は、H19が事業停止によるサプライチェーン下流側への悪影響、H20が目標非達成リスク、H21が想定外事態、H22が情勢変化です。またプロジェクトはH19~21が体験したプロジェクトあるいは体験していなくても知見のあるプロジェクト、H22が仮想事例です。(将来の情勢変化がテーマなので当然かなと思います)

以上を踏まえると、今年度も同じ構成の問題が出る可能性が高いと思われます。
そしてこの手の問題は、特に設問(2)の「よくないこと」を思いつけるかどうかというところにポイントがあります。マネジメントをする者は、いかにたくさんの「あり得ること」を想像し、あらかじめ手を打っておけるかが勝負ですから。
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来る日も来る日も添削漬けなので、疲れ目が気になるようになってきた。目薬を手放さないようにしている。
本をじっくり読む時間がないのがちょっと辛い。雑誌類をパラパラ読むのと、バスタブで文庫本を読むくらいだ。読み応えのあるハードカバーなんかを1日読みふけりたいなあ。
8月になったら一段落するから、角瓶持って本を読み耽る旅に出ようか。

2 件のコメント:

  1. 「安全・安心や利便性の確保と環境保全の両立」は、やはりトレードオフ関係の最適化を求められているのですね
    これって良い問題だと思います
    こういう問題はぜひ出題してもらいたいですね~

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  2. そうですね。一面的な視点だけではなく、複眼的思考ができる力をもっと評価してほしいところです。

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