2018年12月11日火曜日

東京南の島物語①

さあ、今日からオフ日だ。口頭試験シーズンに旅先でオフ日が取れるなんて何年ぶりだろう。それも3日間である。さすがに一度帰宅してまた出てくるのはばからしいので、どこかにふらりと出かけようと考えた。
最初は温泉にでも…とも思ったのだが、こんな機会はもうないだろうから、思い切って伊豆諸島に行くことにした。東京→八丈島→三宅島→東京という2泊3日の旅である。目的は観光のみ。オフ日だもん。
飛行機、ホテル、レンタカーと手配は万全、喜び勇んで羽田空港に向かう。
さてさて、今日の八丈島の天気は…

…(^^;)…まあ、明日の午前中もまだ八丈島にはいるのだし…明日の天気は…

オレがいる間だけ雨かーい!うーむ、まずい。ここにきてバイオリズムが雨男のほうにふれてきたようだ。
何はともあれ、池袋から山手線で浜松町へ、さらにモノレールで羽田空港へ。
と、ここでANAからメールが。


…えっ、窓なし席?そんなの離島旅の楽しみ半減じゃないか。でもまあ、今日は雨模様だから、まあいいか。ポジティブに、いいほうに考えよう。
すると、続いてまたメールが。


…えっ?天候調査中?うそだろ…と思いつつ羽田空港に到着。

ううむ、本当に天候調査中だ。まだ10時半すぎだから、1時間も待たなくてはならない。
まあともかく、じたばたしても仕方がない。カードラウンジでゆったり過ごそう。
羽田空港のカードラウンジは多くが保安検査場通過後にある。天候調査中だと保安検査場も通れないから、検査場前のラウンジしかないが、これは1つしかない。
それも八丈島行きのD検査場から一番遠いA検査場の端っこにある。
それでも行きたいので、えっちらおっちら歩いて行くと…

うっそぉ~ん。改装中って…ここまでは踏んだり蹴ったり状況である。この調子だと飛行機も欠航になりかねない。そうなると全行程キャンセルにも…ToT

いやいや希望は捨てずにおこうと、情報板を見下ろしつつコーヒーを飲み、添削をしながら待っていると…


うーむ、飛ぶには飛ぶが、着陸できなかったら戻ってきますよと…これって、本当に戻ってきたらものすごい時間の無駄だしショックだなあ…まあ、これまでもこういうことはあったし、何とかなるでしょ。

とりあえず定刻通りに羽田を離陸。私のシートは本当に窓なし。ToT
どうやら八丈島までずっと雲の上だったようだけれど、よく見えないのでわからない。

結局難なく八丈島空港に着陸。よかったよかったと空港の前に出ると、目の前には八丈富士がそびえ立っていた(心の目で見る)。

レンタカーを借りて、とりあえず島の南西方向へ。八丈島は玉石垣が特徴的だ。おそらく海岸から円磨された溶岩(玄武岩)のビーチペブルを運んで積み上げたのだろう。横一列に並んでいるからせん断面が通ってしまって荷重には耐えられないと思われるが、サイズも揃って、なかなかのもの。あちこちにこれが見られるし、墓地の石垣などは、コンクリートでこれを模したのではないかと思われるブロック積みになっていた。

大坂トンネル手前の展望台は、八丈富士から八丈小島までが一望できるポイントだ。
右手にそびえる八丈富士(心の目で見る)、左手に八丈小島(うっすらシルエットだけ)が見える。ToT

名古の展望台から洞輸沢漁港、島の南端に突き出た小岩戸ヶ鼻を望む。うわあ、火山島の急崖だあ。隠岐を思い出し、しばし見とれる。
ときおり雨がぱらつくものの、やはり東京よりかなり南にあるだけあって、気温はさほど低くない。最低気温でも10度を上回る。ジャケットの上にポケッタブルパーカー、あるいはジャケットは脱いでカッターシャツの上にウルトラライトダウンでちょうどいい感じ。
ここは、植栽にLEDイルミネーションが施されていたり、小屋の中に自販機があって、スノーマン人形が置いてあったり、八丈島のジオラマが飾ってあったりして、管理している人がなかなかに力を入れているところだ。

八丈島地熱館。こういうところに行くあたりが我ながら技術者だねえ。^^;
地熱以上に八丈島の形成過程が動画で解説してあって、けっこう面白かった。

八丈島は北西~南東に延びたひょうたん型をしていて「ひょっこりひょうたん島」のモデルになったと言われる島である。北西の西山が八丈富士、南東の東山が三原山なのだけれど、実は東山→西山の順にできていったとのことだ。
南東側に基盤岩である新第三紀層が分布していて、その真ん中で三原山が噴火活動を始めて大きな島を作って八丈島の南東部分ができ、しばらくして八丈富士が噴火活動を始めて火山島となり、南島の島とつながってひょうたん型の八丈島になったというわけだ。
うーん、面白い。こんなの大好き。

島の南側にはいろんな温泉があるのだが、今日は眺めも悪いし肌寒いので湯冷めをしてもいけないから、今回は涙を呑んでパスして空港近くに戻り、植物園へ。非常に広い敷地で、いい天気の日にゆっくり散策すると気持ちいいだろうが、夕方近くで薄暗くなってきた上に雨もパラパラと、それも風を伴って降り始め、なにやら現場作業強行の雰囲気を呈してきたので、ビジターセンターと動物飼育ゾーンだけを足早に見た。

これはヤコウタケ。ひょろひょろとなんてことはないキノコなのだが、

カーテンを閉めると発光する「光るきのこ」である。スマホで撮れるんだからかなり光が強い。

そして、私の年代なら「八丈島」といえばこれ、という「きょん」。実は在来種ではなく、中国原産の小型のシカらしい。人になれていて、写真を撮ろうと構えるとぐんぐん近付いてくるので、
こんな写真になってしまう。^^;

風雨が強くなってきたので、最後の見学地点に千畳敷を選択。普通は千畳敷といったら海食台なのだが、八丈島のそれは溶岩流が海に流れ込んだときの平坦部分で、縄状溶岩が一面に広がっていて、粘性の低い玄武岩質の溶岩がどろどろと流れてきてどよーんと溜まり、赤黒く冷えていく光景が目の前に浮かんできて、地質屋としては軽くコーフンしてしまうのだ。

ふと海を見れば、シルエットのままではあるが、八丈小島が大きく浮かんでいた。
こうしてみると平坦地などない火山島そのものだが、南側に猫の額ほどの緩やかなところがあって、そこに昭和40年代まで人が住んでいたらしい。
ただ八丈島と八丈小島の間には速い潮の流れがあるので泳いで渡ることはできず、ために八丈島に流されてきた流人の中で、さらに悪いことをした流人が八丈小島に流されたという話もあるらしい。

いよいよ天候も悪くなってきて、暗くもなってきたので、おみやげタイム。ここまでの行動の中で、おみやげを量・質ともにしっかり買えるところは見つからなかったので空港売店へ。
明日は時間が取れないかもしれないので、おみやげをまとめて買って送った。お菓子を中心に、島酒もしっかり購入し、さらには怖い物見たさというか、くさやのビン詰めも購入。年明けのひこそう全国大会で罰ゲームに使おうかな。^o^;

買い物も終えてホテルにチェックイン。今回は勝手もわからないので、「リゾート」の名を冠するホテルを選んだ。季節外れだから1泊2食付きで東急ステイより安いくらいだけどね。

夕食は、先付けにアシタバのおしたしが付いたり、島寿司(魚のヅケがネタで、ワサビではなくカラシで食べる)、島の魚の刺身、写真にはないが島野菜と魚の天ぷらなどなど、腹一杯になった。まあその代わり、居酒屋のようなところでダベりながら地元料理を選ぶ面白みはなかったけどね。島焼酎がうまかった。
腹一杯飲み食いして部屋に戻ればまだ7時前。ドリップコーヒーが4パックもあるので、喜んでこれを飲み、ちょっと早めに風呂にも入って、明日は思いっきり早起きして、朝食までの時間にレンタカーでまた走ってみよう。そうすれば今日はかなわなかったビューポイントからの絶景堪能ができるかもしれない。

ということで、8時過ぎに風呂に入る健康生活。風呂上がりにごきゅごきゅと飲む冷たい飲み物はこれ!明日葉茶である。今日葉を摘んだら明日にはもう出ているというのが名前の由来と言われるほど強く、どこにでも生え、島の人たちの食生活を支えてきた、偉い偉い葉っぱなのであります。

2 件のコメント:

  1. ヤコウタケ!
    この時期でも見られるんですね!

    返信削除
  2. 自然条件で見られるかどうかはわかりません。
    植物園の中には、どうみてもガジュマルじゃないかという木もありました。あちこちの木を植えてゾーニングしているようです。

    返信削除