2018年1月28日日曜日

巣立ち

寒波もようやく一段落した日曜日、息子の結婚式があった。

娘は身内だけの披露宴をしたが結婚式は新婚旅行先でしたので、我が子の結婚式に出るのは初めてである。
新婦の父親の立場であれば、バージンロードなどというところを歩かねばならないのだが、ありがたいことに新郎の父親というのはその他大勢と何ら変わらない。真っ白なスーツに身を包んで現れた息子に驚きつつ、ぼーっと見ていた。
結婚式の後は写真撮影と食事会。披露宴ではないので、モーニングなんぞという不思議な服は着ずにすんだ。ありがたや。

去年の8月に娘の結婚式、12月に父の葬儀、そして1月に息子の結婚式というあわただしい半年を過ぎし、我が子2人がいずれも新しい家庭を持ち、ああ我が人生一段落なのだなあと一人静かに酒を飲む…などということができればいいのだけれど、帰宅すれば休む間もなく自宅前の雪除け、夜は夜で添削やらセミナー資料準備やらでまったりできる時間はない。まあこれが我が人生なのだろうけれど。

あどと考えながら家の前の雪除けをしていたら、野鳥の会の知人にあった。上根来助太郎の野鳥写真を提供してくれた人だ。少し立ち話をしていたら、最近クマタカの若鳥が出没するようになった地域があって、見に行っているとのことだった。その若鳥はやたらと鳴くのだという。「そりゃあ、巣立ち間もなくてまだ親鳥を呼んどるんとちゃうの」と聞いたらその通りだという。
クマタカの巣立ちとしたらちょっと遅いのだけれど、親に未練のある若鳥を、親は自分の縄張りから追い出すらしい。厳しい自然の巣立ちである。
そうなのだよなあ、我が子も巣立ったんだよなあ。
我が息子よ、娘よ、オトンは君たちを見守っているし、いざとなったら命がけで助けるけれど、本当に幸せなのは、君たちが完全に巣立ち、もう親を頼らなくなることなんだよ…って、精神的にはもうそうなっているかもしれないなあとも思うのだけれど。
考えてみれば、大学に進学するとき、息子は千葉、娘は茨城という、何があってもそう簡単に行けない(実際、東日本大震災のときには行けなかった)ところに行ってしまってから、彼らがどんな生活をしているかよく知らない日々が始まったわけで、そのときからインディペンデントが始まっていたのだろうな。
まあともかく、君たちは君たちの人生を歩んでいってください。親は親の人生を歩むから。いざという時以外は、それぞれの人生をそれぞれ歩んでいこう。

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