2018年2月12日月曜日

サーバダウン?に思う

さる1月27日のことである。
その日は息子が奥さんとご家族とともに新幹線から北陸線を乗り継いで敦賀までやってきて、私と女房が車で迎えに行く予定であった。前日からの雪で新幹線も北陸線も遅れている。26日など北陸線で特急の運休が続いていた。
9時過ぎ、さあJRの運行状況はどうだろうとJR西日本のHPを開くと…

…やっぱダメだJR西。
さてここで総監クイズです。何がだめなんでしょうか。少なくとも2つあります。

1つは当然のことながら、寒波・大雪で列車ダイヤに乱れがある中で迎えた週末、列車運行情報提供が一番大事なこのときにこんなことになる点である。
アクセス集中でサーバ・システムがダウンしたのであれば、その脆弱性。フォールトアボイダンスやフォールトトレランスといった信頼性をシステムに付加してなかった(あるいは不十分だった)ことになる。
別の理由でシステムがダウンしたのであれば、たとえば設備保全であったりセキュリティであったりという面での管理が不十分だったということだろう。

もう1つは、「ただいまご利用いただけません」という情報しか流さないという危機広報の不十分さ(危機管理の不十分さ)である。
アクセス集中でサーバ・システムがダウンしたのでメンテ中だとか、もう少し情報を流さないと、ユーザーはいつ復旧しそうなのかまったく見通しがたたない。
もしかすると「不確かな情報は流さない」などという阿呆な管理者がいるのかもしれない。今の世の中、特にICT絡みは複雑なシステムが絡み合っているから、そう簡単に「確かな情報」など出てくるはずもない。結果、明確な原因も何もわからず、というか原因究明と同時にシステムは復旧し、ああよかったよかったで終わる。せいぜい事後に「こういうことでした」と説明するくらいだ。しかしそのころにはもうユーザーにとっては原因や経過はどうでもいいのである。
そして「不確かな情報は流さない」という管理体制は残ってしまい、次回また同じことが繰り返される。すなわち「どうなってるんだ」というユーザーの情報開示要求に応えられない。
さらにもしかすると、「ただいまご利用いただけません」という情報では不足だろうということにすら気づかないのかもしれない。もうどうしようもない。
じゃあどうすればいいんだろう。
不確かな情報をどんどん出して、後で訂正の繰り返しと混乱に陥るリスクは当然ながら置かせない。でも「これで間違いない」という確実性が得られるまで情報を出さないのでは、ユーザー要求に応えられない。
ということは、出せる情報と出せない情報を区別して(当然ながら都合がいい・悪いではなく、情報の確かさで区別する)迅速に開示していくという仕組みを作ることが解決悪だと思う。
念のため書いておくと、「次回からそうしようと思います」では管理ではない。「次回からそうなるような仕組み・決まり事を作る」ことが管理である。だからこういったトラブル対応・課題解決を経験すると、担当者の経験・スキルも上がるが、組織の管理システムもレベルアップ(スパイラルアップ)するはずなのである。

ということで、情報管理(危機広報)に問題がある組織なことがよくわかったわけだが、新幹線のぞみの台車が破断しかけた重大インシデントも情報管理がなっていないことを露呈している。
あれは保安要員と指令との間で「言ったつもり」「聞いたつもり」みたいな行き違いがあったことがわかっているが、これも情報管理の重大な欠陥である。
以後はそういうことがないようにしないといけないわけだが、そこで社員教育するとか、そういったことに走ってしまってはダメである。それも必要なのだけれど、それ以上に間違いなく伝わる仕組みを作らねばならない。
たとえば何かを伝達したときは復唱するという決まりである。仕事で電話して相手が不在であったときに伝言をお願いしたとき、「それでは復唱いたします」という組織と、「伝えておきます」しか言わない組織がある。そして復唱してもらったときに、伝え間違いや補足・訂正などがあった経験は多くの人が持っているだろう。情報伝達における復唱の重要性を物語るわけだが、これがきちんと「決まり事としてある」こと、つまり仕組みがあることが「管理」なわけですね。

JR西HPのダメダメな「ただいまご利用いただけません」はまもなく消え、情報提供が復帰したわけだけれど、あの不親切な情報提供にはきっとクレームがいくらか来ただろう。それを活かして是正措置がとれるか、終わったことであり実害もなかったから放置するのか。
重大インシデント再発防止のために点検体制を改善したり、サーバダウン防止のためにシステム増強したりすれば、相応のお金もかかってしまうだろう。
でも「復唱する」という決まりを作ったり、何かあったときの情報提供の内容を具体的にしたりするのならお金はかからない。そしてそういうことの積み重ねが企業の質・信用にかかわってくるのだと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿