2014年7月16日水曜日

困った人

最初に断わっておくけれど、これは誰か特定の人を指しているのではない。

ここ数年、熟年世代のNPO勧誘みたいなことをやっている。
市民協働が言われる時代になって、NPO(NPO法人とかボランティアグループのような任意団体とか、まあやや広義のNPOね。)を充実させたいという行政の意向もあって、退職を控えた熟年世代に「NPO活動に参加してみませんか」的なPRをするという役目だ。

これがまた実際やってみるとなかなかむずかしい。
そもそもそういったボランタリーな活動に興味を持っている人は、現役のころから何かしらやっているものなので、今さら勧誘などしなくてもNPO活動を続けていくのだ。
一方、そういうものに興味も関心もない人は、少々誘ったところでNPO活動には参加しないし、ボランティアマインドを持っていない人が入ってきてかえって困るなんて例もあるから、下手に誘わないほうがよほどいい。
結局真ん中あたりの人をターゲットに…ということになるのだが、やっぱり誰でもいいというわけにはいかないんだなあと最近思うようになってきている。
まずはNPO活動をやってみようと思ってくれれば、その気持ちがありがたいから、能力とか性格とかそんなものは後回しで喜んで迎え入れていた。
多くのNPO(くどいようだが、NPO法人だけじゃなく、ボランティアグループも含めた広義のNPOね)は仲間が増えることを何より望んでいるからね。

でもやっぱり誰でもいいというわけにはいかない。
プロボノ(専門的能力を生かしたボランティア活動をやってくれる人)を求めているとき以外は、NPOの場合能力は問わない。
しかし性格は大変重要だ。特に協調性、ひらたくいえばみんなと仲良くやれるかどうかがすごく大事なのだ。

特に要注意だなと最近思っているのは社交性が低い+特定分野で能力が高い人だ。

あまり社交的でない人は、自己肯定感が低い人が多い。人付き合いができない自分に対して劣等感を持っていることが多い。
そういう人は往々にして、自分の得意分野に唯一の自己肯定感を感じるものだから、そこにどんどん深く入って行って、殻を作ってしまう場合がある。
それは特定分野で高い能力を身に付けるということだから、他人に迷惑をかけなければ一向にかまわないのだが、その唯一自己肯定感を持てる専門分野に固執し、他を見下したり攻撃したりするようになってくる場合があるから面倒である。
「そんなこともわからないお前は馬鹿だ」
みたいな物言いになって、いっそう孤立してしまって、人付き合いが一層悪く、友達も少なく、偏屈と言われる領域に入って行ってしまったりすることがある。

さらに社交的でない部分に劣等感を持っているから、社交性のある他人に対して、「羨ましい」ではすまずに妬みになったりすることもある。
技術者も含めて、いろんなところにたまにいるよね、こういう人。

こういう人とはお付き合いは避けたいものだが、仕事であったりするとそうもいかず、ガマンして付き合わないといけない。
でもまだ仕事だからガマンできるけど、「仕事なんだからガマンしろ」といえないNPOの世界では、こういう人は本当に面倒ですよ。
自分の得意分野では他人を見下し、自分の不得意分野では他人を妬むのだから、まず協働は無理ですね。

まあこういう人はたいてい
「自分は人づきあいが下手なので、そういうことはできない」
ではなくて、
「あんな下らないことをやっているのは馬鹿だ」
みたいに自己防衛をしているから、めったにこちら方面にはやってこないので助かるのだが、たま~に何かの間違いでNPO(近所のボランティアサークルなんかも含む)に入ってきてしまうことがあって、まあたいていトラブルになる。
さらにこちらがコーディネーターとしてそういう人を紹介しちゃったりすると、多くの方に迷惑をかけてしまうので、大変困るのだ。

仕事だったらやはり能力が圧倒的に重要で、性格は「まあそりゃ協調性のあるほうがいいけど」みたいな程度だろうけれど、NPOでは逆だ。
社交性が低い+特定分野で能力が高い人というのは、その能力を生かして仕事をしてきたわけで、言い換えるとその能力があったればこそ社会の中に活躍する場所があったわけだが、退職とともにその場がなくなってしまう。
だったら「性格」と「能力」のうち、能力を活かせるセカンドライフをみつけてくれればいいのだけれど、性格のほうが大事なNPOに入ろうと思ってしまう人がたま~にいるんですね。
あれは何なのかな、退職するから寂しくなるのかな。まあそうかもしれないな。自分の周りが仕事だから付き合ってくれる人だけだったら、退職したら何もなくなってしまうものね。濡れ落ち葉にはなりたくないという気持ちはわかるんだけど…

本当はそういう人でも受け入れられる許容度の広さ、懐の深さが必要なのだろうとは思う。
得意分野で見下して不得意分野で妬むって、考えてみればとんでもなく不幸な人だから、そういう人を受け入れて活躍できる場を用意するというのは人助けなのだが、NPOにはちょっときつい。組織基盤が脆弱だから、変な人が入ってくると案外簡単にコケてしまったりするのだ。
もっともっと大きなNPOならできるのかもしれないけれど。

8 件のコメント:

  1. sonny@シラフ2014年7月17日 6:26

    そういう意味でも、職場の仲間以外と何かやるということは大切だと思います
    それができるということは、一定の社交性も養うことになると思います

    自分の父親も退職して一人でコケましたから・・・ (^_^;)

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  2. 交流チャンネルが1つだけってのはやっぱり避けたほうがいいですね。これも冗長性かな。

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  3. 何か俺のこと言われているようで・・・
    今後気をつけます。
    得意分野のジャニーズ・ネタに走らぬように(-_-;)。

    でも、ほんと田舎生活では協調性、生命線ですよね(>_<)

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  4. あー、それは別の意味で困った人ですね。^o^;
    でも知床さんが「人づきあいが下手」ということは絶対ないですね。もしそうだったら恐竜絶滅の原因は内気で人づきあいができずに繁殖できなかったからです。

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  5. 新卒技術者2014年7月17日 18:54

    社会人1年目です。7年後の技術士合格を目指しています。
    先輩から「自分の評価を下げるだけだから他人の悪口をいうな」とよく言われます。
    APECさんの文章を読んで本当にそうだなと思いました。
    尊敬していたので少しがっかりしました。

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  6. 悪口を書いているつもりはなかったのですが、それは残念でした。
    それはそれとして、7年後などではなく4年後を目指せますよ。

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  7. 反響あるということは、同じような悩みで語りたい人が複数読者にいらっしゃるのですね。

    自分の参加している「NPO」的なものは、世代交代を強制的にやっているので年度で「当たり外れ」があるのは否めませんが、補完できる仕組みにはなっています。

    雨上がりの自転車姿をお見かけしましたよ。

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  8. 世代交代を強制的にやるのも一つの手ですね。私も自分の主宰するNPOをはじめてもう10年、自分がずっとやってていいのかなと思いつつ、でも無責任に放り出せないので、次世代育成の大切さをかみしめつつ日々を過ごしてます。
    今日見たって夕方?夜また降ったのであやうく帰ってこられなくなるとこでした。

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