アクマは誘う

巣鴨駅周辺のデニーズ、日高屋、富士そば、やよい軒の4件で食事をまかないつつ、ホテルとルノアールを往復する、徒歩5分圏内の土着な生活を送っている。
昼と夜に模擬面接をするわけだが、これが大変疲れる。2時間に1回ほどトイレに行くだけで、あとはずっと頭をフル回転させているのだからねえ。
午後10時に終わるとへろへろである。体ではなく頭が疲れているのだ。体が疲れているなら一も二もなく風呂に入って寝てしまうのだが、頭が疲れているから始末が悪い。飲みたくなるのだ。
筆記セミナーツアーももろにこれで、終わってから一人居酒屋ばかりしていた。
今はそんなことをしたらたちまちオーバーフローしそうにやるべきことがあるから、奇跡的な禁欲生活を送っているのである。

ところが、である。
広島の雄・M委員長からメールが来た。
仕事の関係で東京にいるのだという。
何ということなのだろう。これから広島は牡蠣の季節に向かうというのに、彼は東国で牡蠣も食わずにお好み焼きの代わりにもんじゃを食べ、ショーユうどんを食っているのだ。
明日の夜10時にルノアールに行くから「ご飯を食べましょう」と言う。
大の大人が「ご飯を食べましょう」と言って、やよい軒で牡蠣フライ定食を食べるわけがないではないか。
富士そばでかつ丼セットを食べるわけがないではないか。
日高屋で野菜たっぷりタンメンを食べるわけがないではないか。
相手が美しき女性であれば「ご飯を食べましょう」はムフフとなるのだが、Ｍ委員長はモーホーではないし、万一そうだったとしても私としては断固拒否する。
まったくもって真夏の現場でヒリヒリに喉が渇いたところへ水滴したたる冷たいビール（ただしプリン体オフ）を突きつけるような行為をする男である。
そういえば彼は広島でＳＵＫＩＹＡＫＩ塾の向こうを張って「水炊き塾」を立ち上げている。
なにやらアヤシイ臭いもするではないか。
などと思いつつも、「明日を楽しみに今日がんばりまーす」などと返信している自分がいる。
ああ、オレってオレって。