2015年7月8日水曜日

失敗できる贅沢な時間

昔自分が書いた文章を探していたら、何年か前に書いた別の文章が出てきた。
「失敗できる贅沢な時間」というタイトルで、幼稚園とか保育所のおたより的なものに掲載されたようだ(実はよく知らない^^;)。

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私は子ども向けのいろんな体験活動をやっているのですが、その中でもイチオシの楽しいイベントが「ダンボールハウス」です。
どっさりの大きめのダンボールと、重ね貼りのできる紙のガムテープ、ダンボールナイフ(細かいぎざぎざの付いた食事ナイフみたいなもので、ノコギリのようにしてダンボールをきれいに切ることができます)を用意します。そして、「さあ、これで何でも好きなものを作ってください」と言うだけです。
子どもたちは最初ちょっととまどったりしますが、やがて動き始めます.
ダンボールの四角い形のままに家を作ってから、小さすぎて自分が入れないことに気付いてボーゼンとする子。最初に塀を作って敷地を決めてから家に着手する子。なぜか家具から作り始める子。家ではなく自動車を作り始める子。いやあ、実におもしろい。それらぜ-んぶOKです。
何度でも失敗できますし、思ったままに変更したり拡張したりすることができます。
やがてダンボールの町が出現します。高い家、広い家、隠れ家のようなバラックのような家、表札もついていたり秘密の通路でつながっていたり。
もうひとつ、私が大好きなのが竹工作です。それも8月ごろに、時間をたっぷりとって開くものが好きです。用意するのは今年出た竹とクラフトナイフです。
見本をみながら竹とんぼを作ろうとするのですが、要領がわからないので、最初は方位磁石の針のようなものができます。もちろん飛びません。だけど8月ごろの竹はまだ柔らかく、子どもの力でも簡単に削れますから、何度でも再挑戦できます。ナイフの使い方もだんだんじょうずになって、最後はちゃんと飛ぶ竹とんぼができます。飛んだときは本当に嬉しいんでしょうね、飛び跳ねてます。何度でも失敗できることは本当にいいことだなあと思います。
そのためには、たっぷりの時間がほしいですね。終了時間とか次のスケジュールに急かされていては子どもも集中できません。
それと何度失敗しても再挑戦できるようにしておきたいですね。子どもは力も心もまだ育っていませんから、竹が硬すぎて削る手が痛くなったり、変なものを作ると叱られたり作り方を教えられてしまったりすると心が離れて行ってしまいます。
時間と場所と道具を用意し、あとは離れて見守るだけにするのがきっと大人の仕事なんでしょうね。だから、親子活動のときに子どもの失敗や遅さを見守っている親御さんを見ると、いい育て方をしておられるなあと感心します。
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うーむと、自分の書いた文章なのに、考え込んでしまった。
そういう視点があるんだなあ…って、これ自分やんか。そういう視点を持っていたんだなあ。
人間は刻々変化しているし、経験を積み続けている。だから当時の自分にはなかったものを今の自分は持っているし、当時の自分には考え及ばななかったことを考えることもできるようになっている。
でも、当時の自分が持っていたのに今の自分は持っていないものもあるのだ。新たしい視点や考え方を手に入れるかわりに、忘れていく視点や考え方もあるのだなあと思った。

2 件のコメント:

  1. APECさんらしく、人間味があふれでる記事ですね。
    参考になります。
    あれ、APECさんって人間だっけ?

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  2. 人間ですよぉ~。たぶん。

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