あの雲の下は夕立かしらと思うような光景の前をヨットが横切っていく。子供のころから何度も何度も見てきた光景だ。こういう光景を見ると、中学校や高校での夏の部活のことや、一夏のアバンチュール(わーお!)のことなど、あれこれ甘酸っぱく思い出されてしまい、還暦目の前のじいじとしては身の置き所がないような感覚に襲われる。
マリーナでは常時船が舫ってあるようになってきた。こうしておくとすぐに貝が船底に付いてしまうので、稼働状況がいい時期でないと見られない光景なのだ。
ああ、世の中がまた動き出したのだなと実感した。
東京あたりで新規感染者が増えているようにみえるけれど、あれは集中的に検査をした結果のようで、そういったところをみても今は4月ごろとは違い、COVID-19をコントロール下に置いているように思える。これなら数字に惑わされることなく、感染予防と社会経済活動を両立していけるだろう。その「一山越えた」感が実感として感じられて、今日はとても嬉しかった。
世の中は三大都市圏を中心に、まだまだ社会経済活動レベルが戻っていないようだが、この調子なら徐々に回復していくだろう。支払った代償はとても大きく、そう簡単には回復しないだろうけれど、それでもしぶとく復興していくだろう。
ネットを見ていると、緊急事態宣言といろいろな自粛があったからこそ乗り越えられたという説もあれば、緊急事態宣言は結局不必要だったという説もある。そして困ったことに、こういう時には自説に都合のいい説だけをかき集めて「ほらほら俺の言っていたことは正しかっただろう」と言い出す輩が出てきて非常にややこしくなる。かつてのプレートテクトニクス論、地球温暖化論など、仮説が定説になっていく過程でいつも見られた現象だ。今回もあと10年、いや今の時代であればあと数年であっさりと決着がつくのであろう。
しかし結果論で勝ち誇っても意味はない。大事なのは今どうするかであって、様々な仮説が入り乱れてまだよく分からないことが多い段階では、やはり予防原則しかないのだろうな。
東京と大阪などで抗体検査をした結果、0.1%などの数字が出ていた。おそらく「日本人はすでに集団免疫を獲得している」説や、「 BCG が効果的に働いてあらかじめ抗体ができていた」説は、これで消えてなくなるのだろうな。(もっとも集団免疫信奉者は、今後も自分に都合のいい説を探し出してきては「俺たち大丈夫」と言い張るのであろうが^o^;)
そんなものではなく単純にリスク管理の話だと思うんだけどね。4月の時点ではそうでもなかっただろうけれど、今はもう自分が感染してさらに他の人にも感染させてしまうリスクは、ほぼ「気にしなくてもいい」レベルに小さいと思う。
実際今日は自転車と自家用車がいっせいにパンクするなどの珍事が巻き起こったりしていろいろな所に行ったが、仕事をする時にマスクをしている人がだんだん少なくなってきていると実感した。もちろん外を歩いている人はなおさらだ。理屈ではなく体でリスクが許容レベルまで低下していることを知っているのだと思う。
政府も知事さんたちも、少々の感染者の増大には動じなくなっているように思われる。それは、小浜の街の中で私が感じたのと同じように、体感・実感としてリスクが小さくなっている、コントロールできてきていると感じているのではなかろうか。
だとすれば、やはりこれからだんだんペースアップしてしぶとくこの社会は回復していくのだろう。
社会の脆さも感じたが、社会のしぶとさも感じた春であったなあ。
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