2016年4月8日金曜日

我が青春の男鹿

午前9時の特急「つがる」で青森駅を出発。

これが「つがる」。別に興味はないのだが、ぼうずさんはじめSUKIYAKI塾鉄ちゃんのみなさんのために撮っておこう。

秋田に向かう車中からは残雪が見える。これは例年のことだけれど、今年は特に雪が少ないなあと思う。

東能代駅下車、レンターカー調達。車に疎い私にはよくわからないけど、とにかく私に似合いの軽自動車である。

勇んで出発。このあたりは青森と同じく、家の屋根が瓦葺きではなくトタン葺きだ。そういえば長野の野沢温泉あたりでもそうだったなあ。気温の関係なのだろうが、この緩い勾配のピカピカ光るトタン屋根は印象深い。

そして路側の地吹雪柵。これも東北や北海道に来ないとまずもって見られないものだ。
大潟村に入った。小学校4年生くらいのころから、いつか行きたいと思っていた八郎潟干拓地だ。
なんだかよくわからないのだけれど、10歳の子ども心に、あれほどでっかい面積を干拓して陸地を作り出すというスケールに感動したのだ。そして、10歳の子ども心に、いつか死ぬまでに見てみたいと思っていたのだ。

干拓博物館。私が知っていた八郎潟干拓は高度経済成長期のものだが、100年以上前からの紆余曲折があったことなど、ともかくこういった先人達の国土作りの歴史はすごく面白い。

八郎潟は干拓であって埋め立てではないから、ここでの農耕は湖底ヘドロとの戦いになる。表情豊かな人形は、泥にまみれて日々の暮らしのために過ごした人たちを思い起こさせる。いや、美辞麗句ではなくて、こういった、志だのなんだのではなく、とにかく日々の暮らしのために骨をきしませながら働く、それが生活であった日本人というものに心打たれるのです。

博物館から車を走らせ、「日本一低い山」こと大潟富士へ。あまりに目立たずいったん通り過ぎてしまって引き返した。標高0m。つまり八郎潟干拓地は海抜マイナスなのです。
八郎潟から男鹿半島へ。今日の本番である。
私が新潟大学のM1だったとき、秋田市で日本地質学会の総会があるというので、一人でクルマに乗ってやってきたのだ。新第三系を研究している者にとって、男鹿半島は聖地だから、何としてもこの目で見ておきたいと思ったのだ。
若干22歳だった私は1200ccの中古サニーに乗って、いつまでたっても新潟県を出られないことに驚き、秋田県に入ってからいつまで走っても秋田市に着かないことに驚き、そして男鹿半島を車中泊しつつ回ったのだ。

八望台。一の目潟・ニの目潟、そして戸賀湾を一望できる展望台。平成元年の「ふるさと創生」で作ったらしい、四半世紀以上前の展望台。

ニの目潟と戸賀湾は確かに一望できるが、一の目潟はほとんど見えなかった。
一の目潟・ニの目潟といえばマールである。久々に地質屋の血が騒ぎ出す。

傍らには、「八望台を盛り上げる店」が廃墟になっていた。うーむシュールだ。^^;

少し行った道路から一の目潟が見えた。ここには年縞があるという。そうか、三方五湖の水月湖ばかりじゃないんだ。そりゃそうだろうなあ。この日本だけでもきっと何カ所が条件が整った湖には年縞があり、広い世界にはきっといくつものそういう湖があるのだろう。

水族館近くの海食台。かつて日本海中部地震で津波に襲われた一帯だが、男鹿半島標準層序の門前階らしき安山岩類。ところで、今でも日本の新第三系って門前・台島・西黒沢・女川・船川なんだろうか。恩師・島田先生に最初に教えていただいたことだった。

台島階のグリーンタフ。淡緑色ではなく、鮮やかな青緑色もあって、隠岐島の記憶が蘇ってくる。

西黒沢階と思われる砂岩。模式地は半島の反対側だけど。

女川のハードシェールらしきもの。33年前にも、思っていたほどキンキンの硬質頁岩じゃないよなあとちょっとがっかりしたことを思い出した。この近くで車中泊したんだなあと33年前に思いをはせる。

秋田駅近くでレンタカーを乗り捨て、秋田駅からホテルへ向かう。いつもの光景で、ああ秋田に来たなあと思う。
いつものドーミーインに投宿し、すぐに無限堂へ。秋田に来た日はここで飲むことに決めている。座る席も決めていて、いつも5時早々に来るから空いている。そしていつも太平山とギバサとトンブリとガッコを頼む。

東北の重くて辛い酒にガッコが合う。いかにも血圧が上がりそうな組み合わせだけれど。

ギバサのポン酢とトンブリとろろ。私は特にギバサが好きだなあ。

タラの芽の天ぷら。意外なほどかわいらしいタラ芽を食べながら酒をちびちび飲むのは春の楽しみだ。
満足してホテルに戻り、洗濯しつつ風呂に入って、しゃきんとしてから添削。本当は今日あたり総監合格実例集に手が付けられるかなと思っていたのだが…すまぬ。

4 件のコメント:

  1. ギバサってホンダワラのなかまのアカモクのことですよね?

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  2. …あ、そうかな?叩いてネトネトになったやつです。^o^;

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  3. トタン屋根だけに引っ掛かりましたが、雪荷重も載るので軽量屋根材
    かと。急勾配では屋根上での除雪が危険なので緩勾配かと。
    全く間違っているかも知れませんが、道産子魂が引っ掛かりましたも
    のでして…

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  4. 屋根の形と材質って面白いですよね。きっとこういう「屋根文化の研究」みたいなことしてる人いるんでしょうね。

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