2012年2月16日木曜日

安全文化

倉敷のシールドトンネル事故だが、ノーズダウンではないかというニュースが流れている。
電源供給に不具合が起こり停電でジャッキが縮んだままになって、シールドマシンの先端部が支えきれなくなって軟弱地盤上に「乗っかって」「前に倒れこみ」、結果として上部にできた隙間から土砂と海水が一気に流入したというのだ。
私は専門外なので「そういうこともあるのか」としか言いようがないのだが、
「電源供給がうまくいかなくなったときにフェールセーフやフェールソフトが機能せず、カタストロフに至った」
って、それって福島第一原発と同じではなかろうか。
「電源が失われる」というリスクをどのように見積もっていたのだろうか。素人ではないのだから、当然それはゼロではないことくらいはわかっていたはずだ。
同時にリスクなのだからどこかで許容しないといけない。そうしないと最後は隕石が落ちてきて直撃するリスクにまで対処しないといけなくなってしまう。
その「線引き」はコストとの綱引きになるのだが、そこでどのような経営判断がなされていたのだろうか。
そのことを処罰とは別にしてしっかりと掘り下げ把握し分析しないといけないのではないかと思う。
それをしないと企業は「ほとぼりがさめる」のを待つようになってしまう。そしてまた同じ事故が繰り返されてしまう。
コロンビア号空中分解事故を受けた調査で、NASAに欠けていたものとして「安全文化」という言葉が使われた。
飾りでもお題目でも見せ掛けでもない、しっかりと抜き差しならぬほどに根を下ろしたものとして「文化」という言葉が使われたものと私は自分勝手に解釈しているのだが、洋の東西を問わず「のど元過ぎれば」という弱さはあるのだなあと思ったものだった。
今回の事故が信楽と同じことを尼崎で繰り返した企業のような低劣なものではないことを祈るばかりだが、そのためにはリスクをどの程度に見積もっており、その解析の妥当性、そして社会の受容性を妥協なく評価することが大切だと思う。
…という話は古今東西何度も何度も言われ続けてきたことなのだろうけれど。
ここで問題です。エンボス加工した上の写真、何と何でしょう。真っ先に正解した人には今度会ったとき一杯おごるね。^o^

7 件のコメント:

  1. 左は、チャレンジャーの事故かな?右は、わかりません。
    右の写真の左側の男性は、ザッケローニさんに似てますね。

     事故の原因分析や防止策の策定は、過度に個人の責任を特定してつるし上げるようなことをやりすぎると、結局隠蔽されてしまうので、メディアの騒ぎとは別に冷静に検討できる環境がもう少しあるといいと思います。
     議事録も無い(あるんだけど隠してると思います。)今の政権は、悪い見本になってしまってて、なかなか悲しいもんがありますね。

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  2. ヒントは「技術者倫理」です。教科書的事例といえばチャレンジャー号爆発事故と…
    議事録は保安院が「急だったので作れなかった」と言っているようですが(それも無能な話ですが)、それを「嘘だ」と思いこまれてしまう政府、根拠もなく「嘘だ」と思い込む国民、まあどっちもどっちですね。^^;

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  3. わかりました。ジーンハックマンでしたか。
    何度も読んだページなのにすぐ思い出せませんでした。

     議事録は、確かに根拠ないこと書き込んでしまいました。反省です。
    自分の実感としては、行政の人は証拠残すはずだと思いますので、今後なんらかの情報は出てくるんじゃないかと考えてます。
     電源消失のリスクは、身近なものとして人々が感じるようになってきているので、社会的な受容度は低下してるような気がします。
     コスト縮減のしわ寄せで安全管理がおろそかにならないように、って、みんな考えてるんだろうと思うんですけどね。

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  4. 正解!フォードピント事件を題材にした映画「訴訟」(Class Action)です。
    議事録は本当にないんじゃないかなと、これは私も根拠なしに言っているんですが、そういう気がします。ヤバイ話になると予感できる→証拠は残さない方がいいという思考が働くのじゃないかなと。
    結局、官僚を御することができていないのでしょうね。政権交代後、あらゆる場面で感じます。

    電源喪失ではありませんが、停電になったときのオール電化住宅の暮らしはまったく話にならないことを数年前に身をもって知りました。^o^;
    ただ、10年で5時間ほどの停電が1回あっただけなので、発生確率は24時間×365日×10年=87,600分の1.間違いなくリスク保有の領域かと思っています。^^

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  5. 「チャレンジャーの事故」と「訴訟」ですね。
    遅かった。

    最後の逃げ道?としての「想定外」って言葉 流行ってきたような・・・

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  6. まめまめさん、残念!
    「想定外」は「そもそもリスクとして思いつかなかった」か、「リスク解析を誤った」ということですから、どっちも「逃げ道」にはなってないような気がしますけどね。

    SYOさんは今度お会いする機会があったら「あん時おごるって言ったよね」って言ってくださいね。^o^

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  7. 楽しみにさせていただきます。
    今年のツアーもすでにタイトなスケジュールになってらっしゃいますが、熊本に立ち寄られる余裕があれば、教えてください。

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