散々じらして申し訳ない。わがヒコーキは午前5時過ぎ、無事にシンガポールのチャンギ空港に到着した。
さすがはシンガポール、空港内にも目を楽しませてくれる仕掛けがいっぱいである…のだが、これはトランジットにすぎない。9時前のヒコーキで再び出発。
今度は朝食の機内食。そして10時前、ついにアンコール国際空港に到着した。
そう、我々はカンボジアにやってきたのである。
つい最近、中国資本で開港した新アンコール空港は、まだ就航路線が限られガラッガラである。
ホテルから迎えに来てくれたバンでシェリムアップ市へと移動。とにかく空港の周りはなーんにもない。
道路沿いにはキャッサバ畑が広がる。こりゃあトンデモ田舎に来たのか?
ようやく市街地へ入り、ホテルに到着。とりあえずチェックインし、強行軍だったしちょうど昼時なので朝食を食べて買い物でもして今日はゆっくりすべえと街に出た。
トゥクトゥクが走り、騒然としてエネルギッシュな東南アジアならではの街の風景。
昼食は生春巻きとフォー的な米粉ヌードル(香草の香りはするが思ったほど強くもなくスパイシーではない。これなら私にとっては沖縄のフーチバそばのほうがキツイ)、それにアンコールビール(バドワイザー的な軽さ)。
オールドマーケットに突入。食べ物にせよ土産物にせよ、とにかく何でもある感じで猥雑な感じで、ガシガシ売り込みが来て、ああ東南アジアに来たなあと実感。
ここでトゥクトゥクを拾って国立博物館へ。明日はアンコール遺跡群に行くので事前勉強である。
十分面白かった。カンボジアの歴史、特に仏教とヒンズー教が入れ替わる中でのアンコール遺跡群の歴史が理解できた。インドに近く、よりプリミティブな形で仏教やヒンズー教が入ってきて、またタイやベトナム(特にベトナム)と密接に絡み合いながら国の様相を変化させ、近くはポル・ポトの時代を経て今に至る、変遷の激しい歴史を持っている。
まあとにかく勉強もしたので、夜はリラックスしようとパブ・ストリートへ。大音響でロックの流れる賑やかな通りだ。
通りによくわからない楽団が民族音楽を奏でているなあと思ったら、これは内戦時代に障害を負った人たちが寄付を募って音楽を奏でているのだと知った。昼間に博物館に行っておいてよかった。
で、お目当ての伝統舞踊・アプサラダンスが観られるレストランで夕食。
男の踊り手の「ン・ハッハッハッ」という裏打ちのかけ声が沖縄と同じじゃん、バリ島のガムランと似た音楽・楽器だなあ…などと思いつつ、興味深く、また気持ちよく酔った。
ホテルにはプールもあって、ここでゆったり時間を過ごしてヒコーキ旅の疲れを癒やすのもいいなあとは思うのだが、何せ今回はホテル2泊+ヒコーキ2泊の強行軍なので、そんな時間はない。でも、いつか(もうそんなこと言っているトシではなくなってきているのだが)そういうゆったり旅をしたいなあ。
でも今は無理だろうな。太平洋を泳ぐマグロよろしく、常に泳いでいないと死んでしまうのではないかというくらい、「何もせず過ごす」ことができない性分なので。